


【TYPE05】裏切りの瞳
語り手:ムース(男)
主人公:ミルフィーユ(女)
囮の敵:シフォン(男)
本当の敵:ジェノワーズ(男)
この物語はムースによって語られる。
ムースとミルフィーユは、クレム帝国の特殊部隊に所属している。
戦闘力を強化した人間で構成された少数精鋭で、暗殺や破壊工作などを主とする影の部隊である。
ミルフィーユは、部隊の中でも「最強」と言われる女性だ。
ジェノワーズは、クレム帝国の将軍であり、特殊部隊の隊長でもある。
皇帝の信頼も厚い。
シフォンは宮廷道化師であり、ムースと仲がいい。
ムースと組んで、ミルフィーユを笑わせるのが日課だ。
特殊部隊は、ジェノワーズの命令に従い、
「聖なる谷」から「十二使徒の証」を奪い、谷の人間を全滅させた。
「聖なる谷」は、クレム帝国のはずれ、シャンティ村の更に奥にあり、「十二使徒の証」を護っていた。
「十二使徒の証」は、十二個の宝石で、神が人間に与えた祝福という伝説があり、
「平和」や「慈愛」など、一つずつ意味を持っている。
十二人の「神の子」と呼ばれる巫女が、それぞれ身に着けている。
「聖なる谷」は、女性だけが入れる場所であり、
世話役の女性は、シャンティ村から霊力の高い女性が選ばれる。
ミルフィーユ達は、女性メンバーが「神の子」を殺して「十二使徒の証」を奪い、外で待ち受けていた男性メンバーが、谷から逃げてきた女性達を殺した。
谷に火を放ち、「聖なる谷」とシャンティ村を焼き払った。
ミルフィーユは、他には替えがたい「大切なもの」を持っている。
それは、ジェノワーズの命令に従うことである。
どのくらい大切にしているかというと…
ジェノワーズの命令に従い、年端のいかない巫女達を殺すことも躊躇わない。
「十二使徒の証に、誰も近寄らせるな」という命令に従い、冗談で近寄ってきた大臣に切りかかるほどである。
そんな時、何者かによって、部隊から「十二使徒の証」が奪われた!
急がなければ、タイムリミットがやってくる!
皇帝の即位10周年を記念する舞踏会で、「十二使徒の証」を披露することになっている。
このままでは、ジェノワーズの責任が問われることになる。
失ったものを取り戻すために、部隊は立ち上がる。
この事件の動機は、部隊への復讐だと考えたミルフィーユは
シフォンを敵だと思い込んで追い詰める。
ジェノワーズから、シフォンはシャンティ村の生き残りだと知らされる。
あの時の人間は全て死んだはずだと、驚くミルフィーユ。
様子のおかしいムースを問い詰めると、渋々「一人見逃した」ことを白状する。
だが、自分が見逃したのは、「聖なる谷」の世話役で、女だったと言う。
命令違反だと責めるミルフィーユに、ムースは、
「命令に従ってりゃ楽だよな!!お前、自分の頭で考えたことあるのかよ!!」
きつい口調で言われ、言葉を失うミルフィーユ。
言い過ぎたと謝るムースに、「まず、事の真偽を確かめよう」と言う。
ミルフィーユとムースは、シフォンの家に行き、シフォンを問い詰める。
シフォンは、自分の母だという一枚の写真を見せる。
そこに映っていたのは、ムースが逃がした世話役の女だった。
シフォンの母親は、ムースに見逃された後、クレム帝国へとたどり着き、
そこで結婚して、シフォンを生んだという。
シフォンは、母親から、
「帝国の人たちを恨んではいけない」「谷はああなる運命だったのだ」
と聞かされていて、恨みはないという。
シフォンは敵ではなかったのだ!
そして、本当の敵、ジェノワーズが姿を現す。
ジェノワーズは、十三人目の「神の子」で、「裏切り」を意味するキャターズ・アイを持っていた。
男の「神の子」は、「聖なる谷」を滅びに導くと言われ、不吉な存在とされていた。
そのため、ジェノワーズは谷を追われ、クレム帝国に流れてきたのだ。
「十二使徒の証」は、普通の人間が手にすれば、ただの宝石だが、
「神の子」が手にすれば、世界を破滅させるほどの威力を持った兵器となる。
ジェノワーズは、「神になる」という欲求を満足させるために、
部隊を操り、シフォンのしわざに見せかけた上で、
「十二使徒の証」を奪ったのだ。
この世界の神となり、支配することが目的だった。
ジェノワーズがシフォンを陥れたことを知り、ショックを受けるミルフィーユ。
しかしミルフィーユは、「命令に従うこと」よりも大切な何かを発見する。
ジェノワーズに殺されかけるシフォンの身代わりとなり、「十二使徒の証」を奪った罪を負い、ミルフィーユは牢に囚われる。
だが、牢を脱獄し、城に侵入して、「十二使徒の証」を盗む。
成長したミルフィーユは、ついにジェノワーズと対決し、
意外な結末を迎える。
クレム帝国軍を相手に、一歩もひかないミルフィーユに、
ジェノワーズは、特殊部隊を率いて襲い掛かる。
ムースが部隊をかく乱している間に、ミルフィーユはジェノワーズと対決し、苦労の末、ジェノワーズを倒す。
ミルフィーユは、ムースの手引きで、シフォンとともに帝国を逃げ出す。
ミルフィーユは、シフォンに、パスティアージュ自治区へ逃げるよう指示する。
商人が支配する自治区までは、いかに帝国といえども手が出せない。
ムースには、帝国に戻って、部隊のメンバーが暴走しないように見張って欲しいと頼む。
ミルフィーユは、二人にキャターズ・アイを見せ、「あの人の思い出を抱いて、罪を負う」と言う。
全ての罪を被り、姿を消すミルフィーユ。
ミルフィーユは、ジェノワーズを愛していたのだ。
結局、帝国は力を失い、滅亡してしまう。
特殊部隊のメンバーは世界中に散り、ムースもまた、辺境の町で静かに暮らすことにした。
