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【TYPE07】ルナティック




語り手:吟遊詩人

主人公:ギムレット(男)

囮の敵:ルナティック

本当の敵:ラスティー(男)




この物語は吟遊詩人によって語られる。

フードを目深に被った詩人が歌うのは、
「ルナティック」という名の、今は撲滅された病がもたらした悲劇。
ルナティックに感染した者は、7日間の潜伏期間の後発病し、銀毛の魔獣へと変身する。
感染時点でワクチンを接種すれば助かるが、発病したら手の施しようがない病である。
ギムレットは、以前住んでいた村で、誤って魔獣を逃がしてしまい、
退治した村人達とともに返り血を浴びてルナティックに感染してしまう。
ギムレットはワクチンの調合が出来るが、材料が足らず、一人分しか作れなかった。
ギムレットは、自分にワクチンを打つと、村から逃げ出してしまう。
その後、ルナティックを発病した村人達が魔獣となって村人を襲い、
最後は共食いを始めて、村は滅びてしまう。

村は封鎖され、地図からも消されてしまった。

ギムレットは、自分の保身を第一に考え、逃げた先の村でひっそりと暮らしていた。
自分を知る者に会うことを恐れ、殆ど外出しない。
生活に必要なものは、村の郵便配達人であるラスティーに運んでもらっていた。

ある日ギムレットは、ラスティーに、「魔獣の肉が出回っている」という噂を聞く。
今時、魔獣なんている訳ないと笑うラスティー。
だが、ルナティックはどう調理しても死滅しない為、不安になるギムレット。
自分の所にも配達したか聞くと、「した」と言う。
ラスティーが帰った後、検査をするギムレット。
そして、自分がルナティックに感染していることを知る。
後何日潜伏期間が残っているのか分からず、パニックになるギムレット。
ラスティーに頼み、ワクチンの材料を揃えてもらうが、どうしても一つ足りない。
ギムレットは、自分で材料を取りに行くことにする。

苦労の末、材料を揃えたギムレット。調合したワクチンを、突然ラスティーに奪われる。

ラスティーは、ギムレットが住んでいた村に、恋人がいたと言う。
たまたま里帰りしていたラスティーの恋人は、ルナティックに感染した魔獣に殺されてしまった。
「村は封鎖され、遺体も遺品も取りにいけなかった。
彼女の遺骨は、他の村人とともに焼かれ、どれが誰の物かも分からない状態で埋められてしまったんだ
。彼女は存在すら消されてしまった。あんたのせいで!!」
わざと村中に魔獣の肉を配達し、ルナティックに感染させたと言う。
「この村も滅びてしまえばいいんだ。彼女のように!」
ギムレットは、村中にルナティック感染の事実を伝え、ワクチンの材料を集めてくれるよう頼む。
最初は信じなかった村人だが、ギムレットの只ならぬ様子に、材料を持ち寄り始める。
ギムレットはワクチンを調合し、子供から接種を始める。
最後の村人に接種を終えたギムレット。
傍らで、事態をただ見ていただけのラスティーに、「妨害するかと思ったよ」と言った。
「あんたがどうするのか見たかった」と言うラスティーに、ギムレットは、
「もっと早くこうすればよかった」と言う。
「あんたは接種しないのか?」と聞かれ、ギムレットは「材料がなくなってしまったよ」と笑い、
「私が魔獣になったら、君が退治してくれ。ただし、くれぐれも返り血は浴びないように」と言う。
突然ラスティーはギムレットを押さえつけ、奪ったワクチンを投与する。

驚くギムレットに、ラスティーは、自分がかけていた十字架のペンダントを渡し、
「俺の形見の品だ」と言って、消えてしまった。
ギムレットが村人にラスティーのことを尋ねると、「そんな郵便配達員は知らない」と言われてしまう。
「自分の後ろに立っていた」と言っても、「誰もいなかった」と言われてしまう。
村人は誰も、ラスティーの姿を見ていなかったのだ。
その夜、病気が去ったお祝いをしようと、村人達がギムレットの家を訪ねるが、
家の中はもぬけの空だった。

歌を終えた吟遊詩人。足元に硬貨が投げられる。
拾おうとかがみこんだ彼の胸元から、十字架のペンダントが零れ落ちた。