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どんでん返しについて
★どんでん返しの秘術をまとめました
読者や観客を驚かし、思わずアッと言わせる「どんでん返し」は
エンタテインメントの醍醐味です。
しかし、その役割は単なるドッキリ効果だけにあるのではありません。
どんでん返しは起承転結でいうところの「転」にあたる
非常に重要な部分なのです。
あらすじ.comはこの『「転」から物語を作る方法』にこだわります。
全てを「どんでん返しを成立させるため」に作っていくことで
最初から必要な伏線やサブプロットが把握できるため、
緊密で無駄のない物語が効率的に構築できるからです。
しかもこの方法だと確実に「最後まで」作ることが出来ます。
どんでん返しを作ることで「結末」も導きやすくなるからです。
今まで、物語を書き始めたことはあっても、
なぜか最後まで書き終えられなかったあなたや
途中で悩んで投げ出してしまいがちだった方には
ぜひ試してほしい創作法です。
派手なトリックだけがどんでん返しではありません。
地味で目立たないけれども非常に効いている。
物語の根底に関わるいい仕事をしている。
そんなどんでん返しを作る手順を「完全なる秘伝の書」としてまとめ、
ただ今、その一部をダイジェスト版として無料で公開しています。
あらすじ.com 謹製
完全なる秘伝の書 無料簡易版
ダイジェスト版 目次
●どんでん返しの作り方
●『目的』に仕掛けるどんでん返し
●どんでん返しを組み立てる方法
●【敵】の「どんでん返し」を生み出す3匹のモンスター!
●3匹のモンスター理論
◆ドラキュラとは?
◆狼男とは?
◆フランケンシュタインとは?
●モンスターの使い方
▲どんでん返しを組み立てる方法
●どんでん返し全タイプ一覧(製品版のみ)
●「仮筋」と「仮筋セットアッパー」
<TYPE01>ドラドラ1、ウルウル1、フラフラ1
★敵を追い詰めたら別にいた
◆「烏王丸」完成版あらすじ
※自動あらすじキットに付属する「完全なる秘伝の書」製品版では
TYPE01 〜TYPE10の全10パターンの仮筋、各タイプごとに
仮筋を使って作ったあらすじ作品、サンプル短編などが続きます。
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型破りな物語の「型」を知る
神は細部に宿ると言う。
小説はディテールを書き込むことで「人間」を描写する。
「人間」さえ書けていれば、トリックやどんでん返しやオチなどは必要ない。
「人間」さえ描けていれば、それだけで充分面白い。
ただ、それを書くのがむずかしいのだ。
長い地道な描写の修練と、人間観察の手間、そしておそらくは文章の才能が必要だ。
ところが、私には時間がない。
応募したい大賞の締め切りまであと3ヶ月。
あるいは、発表会まであと1ヶ月。
もしくは、オリジナルストーリーのプレゼンが明日の朝に迫っている。
正論には納得するが、実際のところ手間はかけられない。
締め切りは才能以前の問題だ。
一刻も早く、誰が読んでも面白いストーリーをひねり出さねばならない状況なのだ。
そんなあなたのために「面白い物語の型」をテンプレートにしました。
どんでん返しという娯楽作品には欠かせない技術を中心に据えて、
読者がついつい引きずり込まれるストーリー展開の土台を作りました。
これが創作法の全てだなんて言いません。
ただし、これを知っていると知らないとでは、随分効率に差が出ます。
「型」というのはそういうものです。
これまで、その強烈な独自性ゆえに日の目を見ることのなかった
あなたの悪魔の如き才能は、型に嵌めることでついに完成するのかもしれません。
むしろ型に嵌めることで、これまであなたを逆に狭い枠に閉じ込めていた
ユニークなるがゆえの「非客観性」や「わがまま」の排除が可能になり、
はじめて他者と感覚を共有でき、あなたの独自性が伝わる…。
そう、「型」こそがその輝きを引き出す唯一の鍵かもしれないのです。
「型」を軽んじてはいけません。
それは神話にも登場するほどの歴史を持つ、何千年にも及ぶ人類の遺産です。
新しいものを生み出すためには伝統を知らなければなりません。
いったん型に嵌めることで、初めて反発が生まれ、型を破ることができるのです。
試してみましょう。
気に入らなければ使わなければいいのです。
「型」を知ることにリスクはないはずです。
●どんでん返しの作り方
ブンコ「ぴこ蔵師匠、『どんでん返し』をどう作るのか?
というのがこの『完全なる秘伝の書』のテーマなわけだよね?」
ぴこ蔵「そういうことじゃ。それではさっそく質問じゃ。
『どんでん返し』を最も簡単に言い表すと何じゃと思う?」
ブンコ「…? さっぱりわかりましぇん」
ぴこ蔵「よいかな、耳の穴かっぽじって聞きなさい。
どんでん返しとは…
『 αと見せかけて、本当はβである 』ことじゃ!」
ブンコ「αと見せかけて、本当はβ…?」
ぴこ蔵「これがどんでん返しの基本形なんじゃよ」
ブンコ「たったこれだけ?」
ぴこ蔵「さよう! あとはいかに読者に
αと思い込ませるかだけのことじゃな」
ブンコ「今度は単純すぎてわかんない」
ぴこ蔵「それではもう一度。《αだと思っていたらβだった》
これがどんでん返しの構造じゃ」
ブンコ「つまり、予想や思い込みをひっくり返されるってこと?」
ぴこ蔵「さよう。ポイントは"思っていたら"の部分じゃ。
誰が"思っていた"のかというと『読者』なのじゃ。
つまり作者側からいうと
《αだと思いこませておいてβを出す》
という、読者に『ミスリーディング』させる技なのじゃ。
どうじゃ、思いっきり簡単じゃろ? 」
ブンコ「シンプルだねー」
ぴこ蔵「『【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う』
これが読者を物語に引き込むためのベーシックな構成である。
そして読者を満足させるためになくてはならないのが
「どんでん返し」なのじゃ。
『αと思ったらβだった』がその基本構造である。
この「どんでん返し」を構成の中心にすえて肉付けをすれば
『面白いストーリー』が完成するのじゃ!」
ブンコ「で、その肝心の「どんでん返し」はどう作るのさ?」
ぴこ蔵「さよう。手っ取り早く言うとじゃな、
どんでん返しには明確なパターンが存在する。
最初はとにかくその中から選択すればよいのじゃ」
ブンコ「マ、マジで? それってチョー楽勝じゃん!」
ぴこ蔵「では、どんなパターンがあるのか???
ズバリ言おう!
わしは「どんでん返し」を全部で10タイプと見ておる!」
ブンコ「ええっ!? どんでん返しって、たった10タイプ?!」
ぴこ蔵「いわば最大公約数じゃな。
細かく分けていけば50、100とどんどん分けられる。
しかし、それでは「どんでん返し」を作ろうとするたびに
分厚い事典が必要になってしまうじゃろう?」
ブンコ「たしかに…」
ぴこ蔵「いつでもどこでもどんでん返しを考えるためには、
常に頭の中にその構造を思い浮かべる必要がある。
10タイプというのは、
これ以上少ないと分ける意味がなくなってしまうし、
多いと全体像を把握できなくなるギリギリの数なのじゃ」
ブンコ「ふ〜ん。じゃあ、その10タイプを覚えると
どんないいことがあるのさ?」
ぴこ蔵「この10タイプさえ知っていれば、
もうどんでん返しのネタに困ることはない。
映画や小説など、さまざまな物語の「どんでん返し」が
簡単に分析・理解できて、
あっという間に、次々に、作れてしまうのじゃ!」
ブンコ「ではさっそくぴこ蔵老師! 10タイプのどんでん返しとやらについて
説明してちょーだい!」
ぴこ蔵「おっと、その前に、前提となる条件を言っておこう!
面白い物語の基本的なパターンとは、何度も言うが、
【目的】を追う主人公が、邪魔する【敵】と戦う話じゃ。
実はじゃな、
どんでん返しはこの2大要素である
『目的』あるいは『敵』に仕掛けるのじゃ」
ブンコ「『目的』のどんでん返しと『敵』のどんでん返しがあるの?」
ぴこ蔵「うむ。そういうことじゃ。
【目的】と【敵】のどちらにも仕掛けることができる。
そして、そのうち【目的】のどんでん返しには2タイプある。
まずは『目的』のどんでん返しから説明しようかの」
●『目的』に仕掛けるどんでん返し
★「花咲かじいさん」に見るどんでん返し
ブンコ「師匠、そもそも『どんでん返し』って何ですかあ?」
ぴこ蔵「よしよし、わかりやすく説明するぞい。
わかっているようで実は他のものと混同している場合が多い。
それがどんでん返しなのじゃ。
例えば、ブンコちゃんよ、
お主はおとぎ話の「花咲かじいさん」を知っておるかな。
簡単に語ってみよ!」
ブンコ「えーと、大体こんな感じ↓だったと思うけど…」
◆花咲かじいさん
昔々あるところに正直じいさんが住んでおりました。
ある日のこと、愛犬ポチが裏庭で騒ぐので、畑の真ん中を掘ってみたら大判小判がざっくざく!
それを見ていた隣の極悪じいさん。さっそくポチを盗み出して、自分の畑で鳴かせます。
正直じいさんは驚いてポチを返せと言いますが
「こりゃわしの犬だもん。ポチだというなら証拠を見せろ」
極悪じいさんは相手にしません。
そのうち、鳴かないといって虐待されていたポチがついに鳴きました。
極悪じいさんが躍りあがってその場所を掘ると、汚いガラクタがざっくざく!
ぶちキレた極悪じいさんはその場でポチを叩き殺してしまいました。
驚いたのは、ポチの様子を胸を痛めながら物陰から見守っていた正直じいさん。
こときれたポチの亡骸を抱きしめて泣きながら家に帰っていきました。
正直じいさんは、そんなポチの遺骸を焼いて灰にしました。
そして、近所の山に散骨したのです。
するとそこに生えていた何百本もの桜がいっせいに見事な花を咲かせました。
丁度その場に居合わせた殿様が、この様子を見て感激し、正直じいさんに大判小判をごっそり与えました。
これをまた見ていた隣の極悪じいさん。
よーし俺も、とばかりにかまどの灰を持ち出して、桜の木に撒きました。
するとその灰が殿様の目に入って、下郎無礼なりと怒りを買い、
極悪じいさんはその場でバッサリと斬り捨てられましたとさ。
※民話にはさまざまなバージョンがありますので、あなたの知っている
「花咲かじいさん」とは多少の相違があるかもしれません。ご了承ください。
ぴこ蔵「それでは聞くが、この話のどんでん返しはどこにある?」
ブンコ「な、な、な、なに〜っ?! どこにあるう?!
う〜ん、そうだなー…。
正直じいさんが大判小判をもらって
極悪じいさんが死刑になっちゃうところ?」
ぴこ蔵「一見するとそう見えるじゃろうが、それは違う。
それはいわゆる『意外な結末』であって
『どんでん返し』ではないのじゃ」
ブンコ「え? 『意外な結末』は『どんでん返し』じゃないの?」
ぴこ蔵「無関係ではないが、似て非なるものなのじゃ。
『意外な結末』は
『どんでん返し』によって引き起こされる。
…というのが正しい筋道なのじゃ!
『どんでん返し』が論理の上に成り立つのに対して、
『意外な結末』は、
読者に感覚的な満足や衝撃を与えるための演出効果じゃ。
どんでん返しさえ決まれば、結末そのものは
ハッピーエンドかアンハッピーエンドかを選ぶことで決まる」
ブンコ「う〜。なんだかわかりそうでわからん!」
ぴこ蔵「なお、どんでん返しと意外な結末、
その二つが一度に起こる場合もあるぞ。
その場合は『オチ』と言う。ただし、
『オチ』た瞬間、物語はパキッと終わらなければならない。
こりゃもうみなさんよくご存知の通り
ショートショートや短編でよく用いられる手法じゃな。
これは古くから数々の技術が研究され、開発されておる。
とてもここでは解説しきれないので
この『意外なオチ』に関してはまた別の機会にやろう」
ブンコ「あのー、師匠、それで『花咲かじいさん』だけどさー、
この話のどんでん返しがよくわからなくなっちゃった…」
ぴこ蔵「では最初から考えてみよう。さあ、主人公は誰じゃ?」
ブンコ「花咲かじいさん」
ぴこ蔵「それではその敵は誰じゃ? 」
ブンコ「極悪じいさん」
ぴこ蔵「さて、それでは主人公の『目的』は何じゃ? 」
ブンコ「え? 大判小判…かな?」
ぴこ蔵「違うな。
主人公は一度も大判小判が欲しくて行動してはおらん。
思い出せ。『目的』を生み出すのは『欠落』じゃ。
主人公が無くした物は何じゃ?」
ブンコ「ああ、そうか。
いったん極悪じいさんに奪われたポチだね。
主人公が目指したのは『ポチの奪還』。
つまり目的はポチだー!」
ぴこ蔵「その通り!
ところがポチは死んでしまった。奇跡はもう起こらない。
誰もがそう思ったとき、なんとびっくり!
死んだはずのポチの灰が桜を満開にしたのじゃ!」
ブンコ「そうか! それがどんでん返しなんだね!」
ぴこ蔵「一度失われたと思っていた不思議な力が、
実はまだ失われていなかった。
これが『目的』のどんでん返し・その1じゃ。
死んだはずの『目的』が、実は生きていたわけじゃな」
ブンコ「あれ? ちょっと待って、ぴこ蔵老師!
それじゃ、極悪じいさんの撒いた灰が殿様の目に入って
極悪じいさんが手打ちにあっちゃうシーンは?」
ぴこ蔵「それが『意外な結末』なのじゃ!
この部分はなくてもお話は成立するのじゃが、
それじゃと読んでいる人がすっきりせん。
そこでどんでん返しを受けて、
さらに効果を倍増させる結末を作ったわけじゃよ。
というわけで、最初に紹介するのは
【目的のどんでん返し・ハナサカ(TYPE09)】じゃ。
◆どんでん返し(TYPE09)ハナサカ◆
死んだと思っていた【目的】が、実は生きていた
●「青い鳥」に見るどんでん返し
ぴこ蔵「さて、【目的】のどんでん返し・その2についてじゃが、
こちらのタイプは、あの世界的に有名な物語、
メーテルリンクの戯曲『青い鳥』に隠れておるのじゃ!」
ブンコ「チルチルとミチルの話だよね」
ぴこ蔵「実はこれまた「どんでん返し」と「意外な結末」が
はっきり分かれておるので、そこも気をつけてみてくれ」
ブンコ「『青い鳥』の筋はこちら
◆青い鳥 〜メーテルリンクの戯曲より
とても貧しいチルチルとミチルという子どもがいました。
夢の中で魔法使いの老婆が教えてくれました。
「青い鳥をつかまえてくれば、あなたたちは幸せになれます。
隣に住んでいる足の悪い女の子も治るでしょう」
そこで二人は青い鳥を求める大旅行に出かけます。
しかし、結局二人は青い鳥をつかまえることができずに、
疲れ果てて家に帰ってくるのでした。
そこで二人は同時に夢から覚めます。
「青い鳥って結局いなかったね。」
がっかりしながらふっとかたわらを見ると、
なんと以前から飼っていたフツーの鳥が、
見る見る青い鳥に変わってゆくではありませんか。
「青い鳥はこんなに近くにいたんだ」
と言って二人はびっくりします。
そこへやって来た隣の足の悪い女の子に
青い鳥を持たせてやりました。
すると、たちまち足が治ってしまったのです。
「やったぜ、ぼくたちはなんでも願いのかなう青い鳥を見つけた!」
そしてはしゃいで鳥かごから出した青い鳥をとりっこしていると、
青い鳥はどこか遠くへ飛び去ってしまいました。
最後にチルチルが、力なく訴えます。
「どなたかあの鳥を見つけた方は、どうぞ僕たちに返して下さい。
僕たちには、あの青い鳥が必要なんです」
ぴこ蔵「さて、この「青い鳥」のどんでん返しはもうわかるな?」
ブンコ「よーく考えたらわかっちゃった!
以前から飼っていたフツーの鳥が、
見る見る青い鳥に変わってゆくところでしょ!」
ぴこ蔵「では、『意外な結末』はどこの部分じゃ?」
ブンコ「せっかく手に入れた青い鳥が飛び去ってしまうところ!」
ぴこ蔵「よろしい! ちょっと賢くなったではないか!
つまりこれが【目的のどんでん返し・アオトリ(TYPE10)】じゃ!」
◆どんでん返し(TYPE10)アオトリ◆
【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、
実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。
●どんでん返しを組み立てる方法
ぴこ蔵「『花咲かじいさん』と『青い鳥』のどんでん返しは
主人公が果たすべき【目的】に仕掛けられておるのじゃ」
ブンコ「ってことは、老師!
10タイプのどんでん返しのうちの2タイプは
この『【目的】のどんでん返し』だってことだよね?」
ぴこ蔵「そういうことじゃ。これで全10タイプのうち
【TYPE09】【TYPE10】はわかったな。
さて、残りの8タイプはすべて『【敵】のどんでん返し』じゃ!」
ブンコ「はあぁ…。まだ、あと8タイプもあるのかぁ…。
『花咲かじいさん』と『青い鳥』ぐらいなら覚えられるけど
正直、あと8タイプ丸暗記するのはつらいかも」
ぴこ蔵「うーむ、やはりそうか。しかし、もっともな話ではあるな。
そこで、わしはさらにこの『敵』の8タイプを
いちいち覚えていなくても素早く組み立てられる方法を編み出したのじゃ!」
ブンコ「どんでん返しを組み立てる方法? どうやって?」
ぴこ蔵「それは『3匹のモンスター』を使う技じゃ!」
ブンコ「3匹ってだれとだれ?」
ぴこ蔵「かの有名な世界3大モンスターなのじゃ!
●吸血鬼ドラキュラ
●狼男
●フランケンシュタインの怪物
いやー、いずれ劣らぬ怪物界のスーパースターじゃな。
この3匹の組み合わせによって「どんでん返し」ができる。
どうじゃ! これなら忘れることはあるまい!」
ブンコ「ドラキュラ、狼男、フランケン。
3匹のモンスターが「どんでん返し」を作る…。
師匠、アタマは大丈夫かー?」
ぴこ蔵「ふっふっふ。まあ、これだけではワケがわかるまい。
ただし、言うておくぞ。
お主がどんでん返しを作るときに、
この3匹のモンスターを思い浮かべるだけで
いささかの混乱もなく効率よく組み立てられるのじゃ!
【敵】の「どんでん返し」を生み出す3匹のモンスター!
●どんでん返しの構造
ぴこ蔵「それではどんでん返しを仕掛ける方法を具体的に説明しよう!」
どんでん返しの構造は
【敵の正体はαだと思っていたら、βだった】
これをひっくり返して作者側から見れば
【敵はαだと思わせておいて、最後にβであることをバラす】
この時のα、βの役割は
α=囮の敵(偽敵)
β=本当の敵(本敵)
とも言えるのじゃ。
ここでのポイントは「α」と「β」が
全く別の登場人物であること。
時々、勘違いをして「α」と「β」を一人の人物で
間に合わせてしまうことがあるが、
これは混乱のもとになるので絶対にやってはいけない。
αからβへ。
囮が退場し本物が登場する。
意外な敵の正体が明らかになる
その瞬間こそが「どんでん返し」である。
つまり、読者はαを「敵」だと誤解して読み進み、
どんでん返しで「本当の敵」はβだったと知らされるわけじゃな。
簡単じゃろ? でも、これが効くのである。
こんなに簡単な設定をするだけで、読者は驚いてくれるのじゃ。
さらに言えば、
『敵』のどんでん返しの作り方の第1歩は
【αとβに、3匹のモンスターを当てはめる】
ことから始まるのじゃ!
●どんでん返しはモンスターで作れ
ぴこ蔵「どんでん返しの基本構造
『敵の正体はαだと思っていたら、βだった』
このαとβに当てはめるモンスターさえ決めれば、
お主のストーリーはもう半分以上完成したようなものなのである。
そして、この「敵(αおよびβ)」は先ほど言ったとおり、
わずか3種類にすぎないのじゃ!
●3匹のモンスター
ぴこ蔵「ところでブンコちゃんよ。
お主の物語で主人公の敵役となるのは何者じゃ? 」
ブンコ「そりゃ悪い奴に決まってますよ!
だってあたしの主人公は正義の味方だもん。
敵は悪くて卑劣で恐いヤツ! 顔なんか鬼みたいでさー」
ぴこ蔵「典型的な勧善懲悪パターンじゃのう。
勧善懲悪は強烈な対立構造を持っておるから
ストーリー作りには使いやすいのじゃが
それだけではすぐに行き詰まるぞ」
ブンコ「え〜っ? だって、敵役は悪人でなきゃダメでしょ?」
ぴこ蔵「『敵役』とは人間が戦って克服するべき対象である。
ただし、克服するべきは「悪」ではないぞ。
人間が克服すべきは自らの恐怖心なのじゃ!
例えばお主がスポーツ根性ドラマを書いたとする。
主人公は高校生ボクサー。
敵役は先輩プロボクサーじゃ。
二人は宿命のライバルである。
しかし、先輩ボクサーは「悪」と言えるか?」
ブンコ「あ。そっかー。敵といっても悪とは限らないか」
ぴこ蔵「でも、そいつは強くて恐ろしい」
ブンコ「そりゃーそうですよ。
弱くて泣き虫で怖くなけりゃ敵にならないもん」
ぴこ蔵「そういうこと。充分恐いからこそ敵役として認められる。
つまり、人間にとって意義のある戦いとは
『恐怖』への抵抗のことなのじゃ。
『恐怖心』のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えん。
したがって、ストーリーに登場する「敵」とは、
主人公が戦うべき『恐怖の象徴』と言ってもええじゃろう」
ブンコ「敵の本質は『悪』というよりも『恐怖』なのか…」
ぴこ蔵「そこで3匹のモンスターの登場じゃ!」
ここまでのまとめ
★どんでん返しのある面白いストーリーの基本型は全10タイプ。
目的タイプその1 (どんでん返しTYPE09・ハナサカ)
邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その途中、いったんは死んだと思ったその【目的】だったが、
実は生きていたのである。
目的タイプその2 (どんでん返しTYPE10・アオトリ)
邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、
実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。
そして…
敵タイプ1〜8
【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う。
しかし、αだとばかり思っていたその【敵】の正体は、
実はβだったのである。
※そのαとβに
恐怖の象徴である3匹のモンスターを当てはめることにより、
8タイプの「敵に仕掛けるどんでん返し」が自動的に出来る。
そして、ここからがぴこ蔵オリジナル「3匹のモンスター理論」なのじゃ!
●3匹のモンスター理論
ぴこ蔵「おぬしの物語で主人公の敵となるのは何であろうか?
それは簡単に言えば「悪」の象徴なのじゃ。
「悪」とは人間が戦って克服するべき対象である。
また、人間にとって意義のある戦いとは「恐怖」への抵抗であり、
「恐怖心」のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えぬ。
したがって、ストーリーに登場する「悪」とは、
主人公が戦うべき「恐怖のタイプ」と言っても過言ではないのじゃ。
『ホラーの帝王』スティーブン・キングは、
著書「死の舞踏」の中で、
古今東西の物語に繰り返し現れる根源的な恐怖のタイプを
3種類に分類しこう定義づけておる。
A 主人公の外部からやって来た存在
B 主人公の内部に巣食う制御不能な存在
C 主人公が行った悪事が生み出した存在
そしてキングはこの3種類を
有名な3匹のモンスターになぞらえたのじゃ。
1 主人公の外部からやって来た存在
→→→ドラキュラ
2 主人公の内部に巣食う制御不能な存在
→→→ジキルとハイド
3 主人公が行った悪事が生み出した存在
→→→フランケンシュタインの怪物
しかし、日本人なら、この3匹を例えるなら
こちらのほうがしっくりくる、というキャラがおるのじゃ。
そうなのじゃ。藤子不二雄「怪物くん」のお供の3匹なのじゃ。
最近では映画「ヴァン・ヘルシング」でもお馴染みじゃな。
1 主人公の外部からやって来た存在
→→→ドラキュラ
2 主人公の内部に巣食う制御不能な無意識の存在
→→→狼男
3 主人公が行った悪事が生み出した存在
→→→フランケンシュタインの怪物
抽象的になりがちな恐怖の概念じゃが、
こうやってモンスターに例えておくと、すぐに思い出せて便利なのじゃ」
ブンコ「じゃあ、もう一度確認ね。
ドラキュラ:
主人公の意志とは全く関係なく世の中に存在している。
狼男:
主人公の中に潜んでいて、主人公のコントロールが効かない。
フランケン:
主人公が意識的に犯した悪事が原因で生まれてきた。」
ぴこ蔵「たった3種類じゃが、世界3大モンスターをなめてはいかん。
全ての恐怖はこのどれかにあてはまるのじゃ!
ではこの3つの悪をもう少し詳細に見ていこう」
●3匹のモンスターの恐怖
ぴこ蔵「1匹1匹のモンスターはあまり大したことはない。
ただ、これが組み合わさると凄い効果を生み出すのじゃ」
ブンコ「それにしてもさー、なんであの3匹なの?
ゴジラやガメラじゃどーしていけないの?」
ぴこ蔵「ドラキュラ、狼男、フランケン。
もっと簡単に言えば、外の恐怖、内の恐怖、因果の恐怖。
これこそが人間の最も基本的な恐怖だからなのじゃ」
●◎●ドラキュラとは?●◎●
ブンコ「主人公の外部にある恐怖っていうのはなんとなく分かるよ。
例えば、道を歩いていて通り魔に襲われたり、
空き巣に入られたり、振り込め詐欺の電話がかかってきたりとか、
誰か赤の他人から与えられる暴力への恐怖だよねー」
ぴこ蔵「それがドラキュラじゃ。
おぬしは全然悪くないのに、奴は勝手に襲いかかってくる。
その行動原理はまさにハンティングである。
ドラキュラは生きていくために人間を捕食する狩人であり、
いわば『天敵』なのじゃ」
★外部に存在する恐怖(ドラキュラ)
※主人公の意志とは全く関係なく世の中に存在している。
怪物の中の怪物、人間の天敵・吸血鬼ドラキュラ。
不死身にして増殖も可能なこのモンスターに象徴されるのは、
主人公の外部に存在していて悪魔の哲学を持ち、人間を堕落させる、
絶対的な悪の姿です。まさに憎まれ役としては最強だといえます。
類型:このタイプの敵にとっては、悪事の標的が絶対に主人公でなければ
ならないというわけではありません。敵にはまず自分勝手な動機が
存在し、たまたまそれに適合する相手が主人公だったに過ぎません。
一般的な敵は大部分がこれに含まれます。
世界征服を企む悪の組織や、学園を支配する恐怖の抑圧者、
勝手に主人公の財産を狙う悪党や泥棒、ストーカー、通り魔、
ビジネスやスポーツ、恋愛や勢力争いにおけるライバルなど。
台風などの災害もこれに含まれます。地震、雷、火事、そして
究極の頑固オヤジ、星一徹なんかもこれになります。
役割:主に「倒すための敵」としての役割が与えられます。
倒すにしても倒されるにしても、このタイプの敵を相手にする場合、
あまりドロドロした話にはなりません。勝てばスカッとします。
巨大な悪や災害などに立ち向かう主人公の物語を作りたいときは
このドラキュラタイプの敵を作るといいでしょう。
例えばドラクエの大ボスです。こいつを倒すことが物語の目的です。
悪いのは絶対的に相手なのですから、主人公は勇気をひねりだす
くらいで、特にリスクを負わずに戦うことが出来ます。
したがって、逆に、キャラやトリックの面白さで工夫しないと
底の浅いB級活劇になってしまうので注意しましょう。
どんでん返しにおけるドラキュラタイプ
最初から悪として登場し、最後まで悪として倒れていく。
そんなドラキュラタイプほどどんでん返しが仕掛けにくい敵は
ありません。単純すぎてすぐに慣れてしまい、怖くないんです。
◆そこでよく使われるのが、隠れているもう一人のドラキュラ。
最初のドラキュラの影に潜み、もっと残虐非道で狡知に長けています。
最初のドラキュラを操っている場合もしばしば。
この隠れている「本当の敵」は、主人公の仲間であったり、
善良な被害者の顔をしていることが多いのです。
もちろんあなたがこのタイプを選ぶ場合にもその手を使いましょう。
なぜなら、そのほうが読者が驚くから。
◆また、最初から最後まで同じドラキュラで通す場合には
どんでん返しとして「一度死んだと思わせる」トリックを使います。
主人公が苦労してやっとのことで敵を倒します。とどめの一撃!
これで死んだと思ったら…敵がカッと目を見開く、あの衝撃です。
この「とどめの一撃」に説得力があればあるほど、
敵の復活がショッキングになります。
そのために、早いうちから伏線を敷くのです。
読者や観客がこのとどめの一撃の威力を信じ込むように。
●◎●狼男とは?●◎●
ブンコ「狼男は『内側に潜む恐怖』だよねー。
でも、誰の内側?」
ぴこ蔵「主人公(エピソードの主役)の内側じゃ。
多重人格や催眠、憑依霊、宇宙人のテレパシー、そして、
主人公が組織の場合は『裏切り者』ということもある」
ブンコ「主人公と肉体を共有するくせに人格は別で、
主人公が知らない間に主人公の体を使って悪いことをするんだよねー」
ぴこ蔵「はたから見れば『変身』するわけじゃ。満月を見ると狼にな」
★内部に潜む恐怖(狼男)
※主人公の中に潜んでいて、主人公のコントロールが及ばない。
普段は善良な人間の内側におとなしく隠れていますが、満月になると
体中に剛毛を生やした残虐なモンスターに変身します。
主人公の内部にいて、しかも主人公の意志では制御不能なこの怪物は
人間が自分自身に対して抱く恐怖を実体化したものだと言えます。
類型:このタイプの敵の正体は、主人公自身です。
主人公と肉体を共有する存在と言ってもいいでしょう。
精神的には全く別人格です。自分勝手な動機に従って行動し、
主人公の生活はそのカムフラージュに過ぎません。
ただし、主人公はそのことを知りません。
●サイコ、その他の精神的な錯乱状態。
●寄生虫、憑依、などの他人格による乗っ取り。
●催眠術、薬物等による他者からのコントロール。
つまり、「自分の中のもうひとりの人格」です。
これを『組織』にあてはめると、さらに広がります。
主人公がある組織で、
その組織を代表する登場人物が「本当の敵」の場合です。
●組織の中の裏切り者による詐欺行為。
ということになります。
犯人の意外性を追及したい方にはオススメのキャラクタ―ですねえ。
この「組織の中の狼男」という設定を使った作品には
『シャドー81』という不滅の名作があります。
どんでん返しのところで私は本を取り落としました。
役割:本当の敵が主人公だった場合、最後に自殺することがよくあります。
「敵を倒す」ために主人公が自分の肉体を滅ぼすのです。
このタイプはそういう悲劇性を含んでいます。
●◎●フランケンシュタインとは?●◎●
ブンコ「ドラキュラ、狼男。そこまではいい。
でも、フランケンの意味がわかんない」
ぴこ蔵「フランケンシュタインというのは、
実は、怪物を作った博士の名前なのじゃ。
モンスター自体には名前はない。これ豆知識」
ブンコ「良心の恐怖ってどーゆーことよ?」
ぴこ蔵「ポイントは主人公が"悪の意志をもって"生み出した怪物と
いうところにある。つまり、因果応報の象徴なわけじゃよ」
ブンコ「主人公が過去に犯してしまった悪事が良心を責めるわけね」
ぴこ蔵「わかってやっておるだけに悪質じゃ」
ブンコ「なんだかつらいモンスターねえ。」
ぴこ蔵「テーマは復讐、あるいは贖罪。
なかなか気分スッキリとはいかん物語になるぞ!」
★主人公が生み出した恐怖(フランケン)
科学者フランケンシュタインが、生命倫理を無視して、自分の研究成果を
追求したあげく、死人のボディパーツから作り出した名無しのモンスター。
ポイントは主人公が「悪の意志をもって」生み出した怪物だということ。
自分の犯してしまった過去の過ちへの怯えが呼び起こす恐怖です。
類型:このタイプの敵の正体は、主人公が生み落とした存在です。
主人公の過去そのものと言ってもいいでしょう。
わかりやすく言えば、自分が殺した人間の幽霊みたいなものです。
もしくは、主人公と本当の敵は一種の親子関係にあるわけです。
ただし、「意識的に犯した悪事」でなければなりません。
自分がはっきりと悪事を行ったことを認識していなければ
フランケンシュタインとはなり得ません。
役割:主人公が過去に悪事を働いた場合、
フランケンシュタインの目的はおおむね「復讐」です。
恨めしや〜、なのです。怪談物には多い設定です。
「ドラキュラ」は完全に相手が悪いのです。
「狼男」型は自分が悪いのですが、精神的には他人です。
まだ自分が悪いという意識がないだけ気楽です。
ところが「フランケン」型は、完全に自分が悪いのです。
悪いと承知で犯した悪事が原因で復讐されるのですから、
自分で責任をとるしかありません。
しかも、主人公は過去からは「逃げられない」のです。
それが因縁というものでしょう。
そんな「フランケンシュタインの怪物」は
ホラーには最高のキャラクターだと言えます。
●モンスターの使い方●
さて、それではいよいよ、3匹のモンスターの使い方をお教えしよう!
なお、モンスターを使うのは「【敵】に仕掛けるどんでん返し」じゃ。
αとβに、3匹のモンスターを当てはめる
●基本型は「敵はαだと思っていたらβだった」
まず、このαとβに、3匹のモンスターを代入してみるのじゃ。
すると3×3で9通りの組み合わせが出来る。
1「敵は『ドラキュラ』だと思っていたら『ドラキュラ』だった」
2「敵は『狼男』だと思っていたら『ドラキュラ』だった」
3「敵は『フランケン』だと思っていたら『ドラキュラ』だった」
4「敵は『ドラキュラ』だと思っていたら『狼男』だった」
5「敵は『狼男』だと思っていたら『狼男』だった」
6「敵は『フランケン』だと思っていたら『狼男』だった」
7「敵は『ドラキュラ』だと思っていたら『フランケン』だった」
8「敵は『狼男』だと思っていたら『フランケン』だった」
9「敵は『フランケン』だと思っていたら『フランケン』だった」
しかし、よく見ると[αとβのモンスターが同じ]というタイプがあるな。
1「敵は『ドラキュラ』だと思っていたら『ドラキュラ』だった」
5「敵は『狼男』だと思っていたら『狼男』だった」
9「敵は『フランケン』だと思っていたら『フランケン』だった」
この3つじゃ。実はこれはまとめて2つのタイプに集約される。
その理由は後述するが、
これを「α=β型」の1、2と呼ぶことにする。
整理すると、
「敵」に仕掛けるどんでん返しのタイプは
(1)「α=β型の1」
(2)「敵は『狼男』だと思っていたら『ドラキュラ』だった」
(3)「敵は『フランケン』だと思っていたら『ドラキュラ』だった」
(4)「敵は『ドラキュラ』だと思っていたら『狼男』だった」
(5)「敵は『フランケン』だと思っていたら『狼男』だった」
(6)「敵は『ドラキュラ』だと思っていたら『フランケン』だった」
(7)「敵は『狼男』だと思っていたら『フランケン』だった」
(8)「α=β型の2」
以上のようになるのじゃ。
モンスターの「名前」を「特性」に置き換える
次に、モンスターの「名前」の代わりにその「特性」を代入してみると
どんでん返しの各タイプの特徴がはっきりするのじゃ。
【αβの組み合わせ8パターン】
(1)「α=β型の1」
(2)「主人公の内部に巣食う恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公の外部に存在する恐怖」だった。
(3)「主人公が生み出した恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公の外部に存在する恐怖」だった。
(4)「主人公の外部に存在する恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公の内部に巣食う恐怖」だった。
(5)「主人公が生み出した恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公の内部に巣食う恐怖」だった。
(6)「主人公の外部に存在する恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公が生み出した恐怖」だった。
(7)「主人公の内部に巣食う恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公が生み出した恐怖」だった。
(8)「α=β型の2」
★「α=β型」について
α=βとは、下記のような場合をさすのじゃ。
●「ドラキュラ」だと思っていたら「ドラキュラ」だった。
●「狼男」だと思っていたら「狼男」だった。
●「フランケン」だと思っていたら「フランケン」だった。
αとβが同じモンスターであるとは、どういうことか?
例を挙げてみよう。
★「狼男」だと思っていたら「狼男」だった。
これをモンスターの「名前」から「特性」に置き換えてみると
☆「主人公の内部に巣食う恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公の内部に巣食う恐怖」だった。
ということになる。
読者の視線になって考えてみよう。
例えば
※「主人公の中の多重人格」が敵だと思っていたら
本当の敵は「主人公の中のもう1つの多重人格」だった。
という「敵の正体」が明らかになったとする。
しかし、これは印象的には…
※町内連続放火犯の正体は「自分の長男」だと思ったら、
実は「自分の次男」だった。
…というのと変わらないではないか!
「外にいる」と思っていたのに
「内側にいた」からショックがあるのである。
もともと内側にいると思っていたモノが、
たとえ別の存在であったとしてもやはり内側にいるのならば、
あまり意外性がないのじゃ。
この「どんでん返しタイプ分けの術」の面白さは、
『自分と他者というボーダーライン』を乗り越える時の
哲学的な衝撃・恐怖を作り出すところにあるのじゃ。
人間にとって最大の恐怖は『自我の崩壊』じゃからな。
真夜中のトイレのドアを開けた時、そこに誰がいるのが一番怖いか?
それは『自分』なのじゃ。うひゃ〜っ!
しかし、この3つのタイプは、その手のショックとは無関係じゃ。
最初から「杉花粉」のせいでアレルギーになったと
思っていて、途中で「実はブタクサ花粉のせいだった」と
言われたところで、あんまり意外性はないものじゃ。
花粉症には違いないのじゃからな。
人間というのは、同じ種類の衝撃にはすぐに慣れてしまうもんじゃ。
従って、このタイプの場合、あの手この手のだましがどうしても必要になる。
まさか、と思われる人物を犯人にしてみたり、
強固なアリバイを持たせてみたり。
いわゆるトリックじゃな。
そんなわけでわしは、このトリックが必要な3タイプを
同一のジャンルとみなすわけじゃ。
ところが、同一ジャンルといえども2タイプに分かれるのじゃ。
それは…
◆αとβが別の人物の場合
◆αとβが同じ人物の場合
特に、後者の「αとβが同じ」場合というのはつまり、
「犯人の正体が最初からわかっていて最後まで変わらない」ということじゃ。
サスペンスと言うジャンルではこのように最初から敵の正体が公開されておる。
そんな不動の敵を使って、読者にあっと言わせるどんでん返しを仕掛けるためには、
「一度死んだと思わせておいて、実は生きていた」という
【目的】のどんでん返しで紹介した『花咲かじいさん』と同じ仕掛けが必要になる。
「α=β型」とは何か? 結論としてはこうなるのじゃ↓
「α=βの1型」
●敵の正体はこいつだ、と思ったら、同じような立場のあいつだった!
「α=βの2型」
●敵は死んだと思っていたら、実は死んでいなかった!
これに【目的】のどんでん返し2タイプを足したものが
基本の10タイプなのじゃ!!
★★どんでん返しの原型★★
(1)敵の正体はこいつだ、と思っていたら、実は、同じような立場のあいつだった!
(2)敵は「主人公の内部に巣食う恐怖」だと思っていたら「主人公の外部に存在する恐怖」だった。
(3)敵は「主人公が生み出した恐怖」だと思っていたら「主人公の外部に存在する恐怖」だった。
(4)敵は「主人公の外部に存在する恐怖」だと思っていたら「主人公の内部に巣食う恐怖」だった。
(5)敵は「主人公が生み出した恐怖」だと思っていたら「主人公の内部に巣食う恐怖」だった。
(6)敵は「主人公の外部に存在する恐怖」だと思っていたら「主人公が生み出した恐怖」だった。
(7)敵は「主人公の内部に巣食う恐怖」だと思っていたら「主人公が生み出した恐怖」だった。
(8)敵は死んだと思っていたら、実は死んでいなかった!
(9)目的は死んだと思っていたら、実は死んでいなかった!
(10)目的はどこか遠くにあると思っていたら実は主人公のそば(内側)にあった!
▲どんでん返しを組み立てる方法
●αが敵だと思っていたら、本当の敵はβだった。
このαとβにお好きなモンスターを代入して
「どんでん返し」のパターンを作ってみましょう。
そして、モンスターの「名前」を「それぞれの特性」に
置き換えてみます。すると、あなたのどんでん返しの形が
はっきりしてきます。
さらに! そのパターンを自分の言葉にして
わかりやすく噛み砕いてみてください。
練習問題
例:αに「狼男」、βに「ドラキュラ」を代入してみる。
「狼男」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「ドラキュラ」だった。
↓↓↓↓
モンスターの名前をその特性と入れ替える
↓↓↓↓
「主人公の内部に巣食う恐怖」が敵だと思っていたら、
本当の敵は「主人公の外部に存在する恐怖」だった。
↓↓↓↓さらにかみくだくと↓↓↓
★知らない間に自分がやったのではないかと思っていたら
実は、自分にそう思いこませて、敵がやっていた。
●どんでん返し全タイプ一覧●
<TYPE01>(ドラドラ1、ウルウル1、フラフラ1)
★敵だと思って追い詰めたら、実は別にいた★
<TYPE02>(ウルドラ)
★敵は自分の中にいると思ったら、実は別にいた★
<TYPE03>(フラドラ)
★敵は自分のせいで生まれたと思っていたら、実は別にいた★
<TYPE04>(ドラウル)
★敵を追い詰めたと思ったら、実は自分の中にいた★
<TYPE05>(フラウル)
★敵は自分のせいで生まれたと思っていたら、実は自分の中にいた★
<TYPE06>(ドラフラ)
★敵を追い詰めたと思ったら、実は自分が原因だった★
<TYPE07>(ウルフラ)
★敵は自分の中にいると思っていたが、実は自分が原因だった★
<TYPE08>(ドラドラ2、ウルウル2、フラフラ2)
★敵は死んだと思っていたら、実は生きていた★
<TYPE09>(ハナサカ)
★目的は死んだと思っていたら、実は生きていた★
<TYPE10> (アオトリ)
★目的のものの獲得に失敗、ところが実は自分のそば(内部)にあった★
これからお主が作るストーリーには
以上のようなどんでん返しが仕掛けられるのじゃ。
そして、これが物語の核になる。
オープニングも、伏線も、クライマックスも、
キャラクターのちょっとした癖さえも。
全ての世界はこの「どんでん返し」の上に構築されるのじゃ!
読者に満足感を与えるためにはこれが絶対に必要なのじゃ。
さあ、おぬしの「どんでん返し」のイメージはつかめたかの?
手っ取り早くストーリーを作る上で
ここは非常に大切な部分なのじゃ。
上記の「タイプ分け」は記憶することはない。
モンスターの使い方さえ理解できれば、
いつでも自分で構築できる。
ただし、断っておくが、これがどんでん返しの全てだなどと
言うつもりはないぞ。
これはあくまでもわしが分類した「型」にすぎぬ。
しかし、「型」をなめてはいかん!
「型」を破って新しい物を生み出すためには
「型」が使いこなせなければならん。
いったん「型」にはめて、その構造を理解すればこそ、
自分なりにアレンジして、応用することができるのじゃ!
この世にはきっともっと素晴らしいどんでん返しがあるはずじゃ。
そして、それを生み出すのはお主である。楽しみにしておるぞ!
さて、ここからは、以上のタイプを使って、いよいよ
実際に「どんでん返し」を作ってお目にかけるのじゃ!
論より証拠と人は言う。
タイプ分けなどを見ていると、頭がこんがらがって
なんだか小難しいようじゃが、実例を見れば
「ほほ〜う! こりゃ簡単じゃ〜ん!」とわかってもらえるのじゃ。
そしてまた一歩、「人間自動あらすじ製造機」に近づくのじゃ!
理論ばかり語っていても退屈だと思うので、
いよいよ各タイプの「仮筋」を紹介するとともに
具体的などんでん返しを作ってみたい。
●「 仮筋 」と「仮筋セットアッパー」
面白いストーリーを素早く効率的に作るためには
どんでん返しを組み込んだ「あらすじ」の原型が必要です。
今後、ご自分でいろいろ研究して、自分だけの必殺パターンを
作り上げることをおすすめいたします。
しかし、そんな時間がない、面倒だ、と言う方のために
手っ取り早く使えるようにテンプレートをご用意しました。
それがこれから紹介する「 仮筋 」です。
「仮筋」は、秘伝と奥義をたっぷり詰め込んだ、物語の濃縮エキスです。
タイプごとに異なる「どんでん返し」をきっちり成立させるためには
どのタイプならどの段階でどんな伏線を張っておくべきか?
事件はどんな順番で起こらねばならないか?
そんな、ストーリーの「定石」を
誰にでもわかりやすい形式にして組み立ててあります。
「仮筋」こそは「型」です。秘伝中の秘伝です。
どんでん返しを無理やり物語に挿入するのではなく、
物語をどんでん返しから自然に作り上げる黄金の型なのです。
この仮筋を元にあらすじを作ってみてください。
娯楽作品として読者を楽しませるために不可欠なポイントが示されますので、
「面白い物語」の創り方を効率よく身につけることが出来ます。
自動あらすじ製造キット付属のソフト「 仮筋セットアッパー THREE MONSTERS 」は
そんな仮筋を簡単に選択できるようにと作られた便利なツールです。
どんでん返しの全タイプリストや「3匹のモンスター」の組み合わせから、
あるいは、セットアッパーからの質問にYES・NOで答えることによって、
あなたの物語に最適な仮筋を選び出し、素早くセットアップしてくれます。
「どんでん返し」の精妙な秘密が隠された「あらすじ劇場」とともに
ぜひ何度も繰り返しご愛用ください。
◎ どんでん返しタイプごとの仮筋と実例
<TYPE01>(ドラドラ1、ウルウル1、フラフラ1)
★敵だと思って追い詰めたら、実は別にいた★
◆仮筋◆
主人公は、他には替えがたい「大切なもの」を持っている。
主人公のまわりから「大切なもの」が失われる大事件が起こる。
「大切なもの」を奪った敵を探し出す必要がある。
「大切なもの」を取り戻すために主人公は立ち上がる。
急がなければ、タイムリミットがやってくる!
主人公は「偽敵」を敵だと思い込んで追い詰める。
さまざまな障害が主人公の行く手を阻む。
ところが、追い詰めた「偽敵」は敵ではなかったのだ!
そして、「本敵」が姿を現わす。
「本敵」は強烈な欲求に突き動かされていた。
タイムリミットは容赦なく迫り、危地に陥る主人公。
主人公は危地から脱出し、ついに「本敵」と対決する。
そして、意外な結末を迎える。
▲構造上の特徴▼
読者をだますための囮である「偽敵」と、
本当の敵である「本敵」が同じタイプである場合、
「えっ? 本当に悪いのは主人公だったの?」みたいな、
主人公のアイデンティティーに関わる深甚な衝撃はなかなか仕掛け難いものである。
そこで、「敵の意外な正体」を設定するという方法をとる。
まるでノーマークだった人物が、最後の最後に、主役に踊り出るのである。
これが「正体探し」の王道であり、最も多用されるノーマルなプランなのじゃ。
これには「こいつの存在を忘れていた」という「盲点」を突く技と、
「こいつは絶対に敵ではないはずである」という「誤解(錯覚)」を招く技がある。
ベタな例だが、前者(盲点)は
「貴族のパーティーが行われている会場にいる小間使い」のように
ついその存在を員数外に置きがちな人物を設定するパターンである。
後者(誤解)の代表格は
「連続殺人事件で3人殺されたうちの2番目の被害者が殺人犯」みたいに
「一見、論理的にありえない」と思われるパターン。
この手のトリックは出尽くしたと言われるが、
要はいかに「型」をドラマティックに使うかであり、
また逆に、よく知られた定石を使うと見せかけて裏をかくという手もあるのである。
いずれにせよ、「型」や「定石」を知らなければ話にならないので、
この手のトリックを仕掛けたいのならクリスティーでも読んで基礎を学ぶことを勧める。
応用として「目的のものを隠す場所」にもこの技は有効である。
「木は森の中に隠せ」というやつである。
▲解説▼
【TYPE01】のどんでん返しは"犯人当て"のためのものです。
「ミステリー」と呼ばれるジャンルで多用されるパターンです。
「意外な敵」が登場する物語を作りたい時に使ってください。
もちろんミステリーだけで使われるわけではありません。
例えば…時代小説の名手・藤沢周平。
『隠し剣孤影抄』(文春文庫)に収録されている
「暗殺剣虎ノ眼」という短編などでこのどんでん返しが見られます。
詐欺師を題材にした傑作映画「スティング」で
『主人公を追う殺し屋の正体』に仕掛けられたどんでん返しも
このタイプでした。成功のポイントは盲点を突くことです。
さて、それでは、あらすじの作り方の手順とともに
ぴこ蔵の実例作品を見ていただきましょう。
どうやって話をふくらましていくかを見てください。
▼応用例
●登場人物の名前を仮に決める
※物語の舞台となる世界を作る上で名前は非常に大きな影響を及ぼす。
家族や親しい友人だと却って詳しいデータに縛られて想像力が働かない。
名前と顔が一致するぐらいの関係が最も自由に想像できるようだ。
※そこでまずは「仮筋」に近所の野良猫たちの名前を当ててみた。
主人公の名前を「野良猫トラ吉」
囮の敵の名前を「ダイゴロー」
本当の敵の名前を「キナコ」にしてみた。
仮筋に名前を挿入▼▼▽
ある時、何者かによって
野良猫トラ吉のまわりから
「大切なもの」が奪われた!
失ったものを取り戻すためにトラ吉は立ち上がる。
急がなければ、タイムリミットがやってくる!
トラ吉はダイゴローを敵だと思い込んで追い詰めた。
ところがダイゴローは本当の敵ではなかったのだ!
そして、本当の敵キナコが姿を現す。
キナコは
「自分勝手な欲求」を満足させるために
大切なものを奪ったのだ。
タイムリミットは容赦なく迫る。
トラ吉はついにキナコと対決する。
そして、意外な結末を迎える。
●登場人物
名前から登場人物のキャラクタや関係を想像する。
実際に近所にいる野良猫たちの関係(▼の部分)をそのまま持ち込んでみた。
▼トラ吉は野良王国の王様。
▼手下に野良猫たちを従えて今日も平和に暮らしている。
▼弟分のチビや、愛人のキナコも幸せそうだ。
▼ダイゴローは最近どこかからやって来た渡り鳥ならぬ渡り猫だ。
▼乱暴者で、王国の国民達も被害を受けていた。
▼トラ吉は大切なものを奪った犯人をダイゴローだとにらむ。
●大切なもの
目的である「大切なもの」を設定するのであるが、
ここからが想像力の働かせどころである。自分がイメージした物語世界へ
どっぷりと身を浸すこと。五感を使ってその世界を感じること。
ここまでのあらすじを読んで、今はまだあなたしか知らないその世界へ
どんな手を使ってでも入り込むこと。そして、旅を始めよう。
野良猫の王様にとって
奪われたら困る一番大切なものを「王の権威」としてみた。
と言っても抽象的な概念ではつまらない。
ファンタジックな感じのただよう象徴的なアイテムがよいだろう。
「煮干しの王冠」とか「マタタビの首輪」とかでも良いのだが、
大人が読んでも楽しめるように少し時代がかったものにしてみた。
(▼の部分)を加えてみた。
▼「大切なもの」は王様の象徴。
▼代々伝わる「烏王丸」という宝玉だった。
▼怨みと魔力のこもった宝石はおろそかに扱ってはならないとされていた。
●悪の動機
ここで敵の悪事の動機となる「自分勝手な欲望」を
『マズローの欲求段階』から選択する。
(『マズローの欲求段階』はこの秘伝の書の最後に紹介してあります)
猫なので「生理的欲求」(▼の部分)を選んでみた。
この選択により、
『目的』は『敵の生理的欲求を満たすもの』である必要が生じる。
キナコは
▼「食欲や性欲及び睡眠・排泄・空気・庇護・睡眠への欲求、
▼ 金銭欲や俗にいう物欲など、
▼ 生きる上での根源的な生理的欲求」
を満足させるために大切なものを奪ったのだ。
●欲求
敵の動機となる欲求を絞り込む。欲求は「食欲」に決定。
★これにより、『目的』は『食欲を満たすもの』である必要が生じる。
つまり「大切なもの」には食欲に関わる魔力が秘められているのだ。
この場合はホラーということで「吸血鬼」を連想した。
前半で「伏線」(▼の部分)、
後半クライマックス部分でその「謎解き」をする。(▼▼の部分)
ある時、何者かによって、野良猫トラ吉のまわりから
王様の象徴である宝玉「烏王丸」が奪われた!
▼宝物には多くの場合、ご先祖猫たちの血に濡れた伝説と、
それに見合うだけの不可思議な霊力が潜んでいるとのことだった。
▼伝説によると「烏王丸」はその昔、猫族と烏族が大戦争をしたときに
猫族が烏族を破り、当時の族長である大烏を殺し、その血を固めて作ったとされる。
怨みと魔力のこもった宝石で、おろそかに扱ってはならないとされていた。
▼▼烏王丸には邪悪な魔力が封印されていた。
▼▼もともとは一時的に空腹感を抑え怪力を与える宝玉として
重宝されていたが、実は中毒性があり、
これを長期間舐め続けると、習慣性、依存性が現れる。
▼▼そしてある日、凶暴な吸血鬼になってしまうのだ。
そして、本当の敵キナコが姿を現した。
キナコは「食欲」を満足させるために烏王丸を奪ったのだ。
●結末
●結末を決めるためにまずはハッピーエンドかアンハッピーエンドかを選択した。
そして、その選択に沿った『結末』を考えることに。(▼の部分)
この例の場合はホラーらしいハッピーエンドを選択してみた。
つまり、主人公が無事に敵を倒して平和を取り戻すのである。
アンハッピーエンドを選択するとしたら、
敵を倒すが吸血鬼はどんどん増えていく予感、というのも面白いかも。
◆完成版あらすじ
トラ吉は野良王国の王様。手下に野良猫たちを従えて今日も平和に暮らしている。
弟分のチビや、愛人のキナコも幸せそうだ。
ある時、何者かによって野良猫トラ吉のまわりから
王様の象徴である宝玉「烏王丸」が奪われた!
宝物には多くの場合、ご先祖猫たちの血に濡れた伝説と、
それに見合うだけの不可思議な霊力が潜んでいるとのことだった。
伝説によると「烏王丸」はその昔、猫族と烏族が大戦争をしたときに
猫族が烏族を破り、当時の族長である大烏を殺し、その血を固めて作ったとされる。
怨みと魔力のこもった宝石で、おろそかに扱ってはならないとされていた。
失ったものを取り戻すためにトラ吉は立ち上がる。
急がなければ、タイムリミットがやってくる!
ダイゴローは最近どこかからやって来た渡り鳥ならぬ渡り猫だ。
乱暴者で、王国の国民達も被害を受けていた。
トラ吉は大切なものを奪った犯人をダイゴローだとにらむ。
トラ吉はダイゴローを敵だと思い込んで追い詰めた。
ところがダイゴローは本当の敵ではなかった。
烏王丸には邪悪な魔力が封印されていた。
もともとは一時的に空腹感を抑え怪力を与える宝玉として
重宝されていたが、実は中毒性があり、
これを長期間舐め続けると、習慣性、依存性が現れる。
そしてある日、凶暴な吸血鬼になってしまうのだ。
そして、本当の敵キナコが姿を現した。
キナコは「食欲」を満足させるために烏王丸を奪ったのだ。
タイムリミットは容赦なく迫る。
▼キナコは烏王丸を舐めているうちに吸血鬼へと化していた。
▼トラ吉は壮絶な死闘の末、化け猫となったキナコを倒し、王国に平和を取り戻す。(終)
●さあ、創ってみよう!
ブンコ「てなわけで、まず最初は以上の手順をもとにあらすじを作ってみましょう!」
ぴこ蔵「今回のあらすじ実例は『猫の世界を舞台にした伝奇ホラー』じゃ!
ポイントは、いかに機械的にストーリーを作っていくかじゃ」
ブンコ「でも、師匠、機械的なストーリーなんか読んだってつまんねーんじゃねーの? 」
ぴこ蔵「大丈夫じゃ! 機械的に作った物語に『魂』を入れる方法はたくさんある!
例えば、「タイムリミット」「事件のきっかけ」「主人公の成長」など。
テクニックはどんどん公開していくので、暇なときにでも読んでおくれ。
とにかく、そんなわけで、まずは物語の土台をしっかり作ること。
大切なのは、まずここまで自分で書いてみることなのじゃ」
ブンコ「そんな奥義があったらさっさと教えてくれればいいじゃん!」
ぴこ蔵「ところが、この奥義に到るには、まずどうしても自分で
いったんあらすじを作ってみなければならないのじゃ。
そうしない限り、絶対に体得できない世界があるのじゃ」
ブンコ「やっぱり実際に書かないとわからないものなの?!」
ぴこ蔵「うむ。理論だけではダメなのじゃ。プレイヤーにならねば。
例えば自転車の練習みたいなもんじゃよ。
自転車についていかに詳しく知っていようとも
実際に乗ったことのない人には、あのバランス感覚はどうしても理解できない。
逆に、一度でも乗れたら、その感覚を一生忘れることはない」
ブンコ「肉体的な感覚が大事ってことなのね。でも、なんで最初は機械的に作るのさ?」
ぴこ蔵「それは、余計なことを書かないためじゃ!
初心者が挫折する原因は、余計なことにばかり気を取られて
例えばキャラの外見の説明だけで疲れ果ててしまうことにある」
ブンコ「久しぶりにギクッ!」
ぴこ蔵「キャラクターの容姿などは後でどうにでもなるのじゃ!
大事なのは、キャラクター同士の関係じゃ。
愛し合っているのか、憎みあっているのか、
関係性こそがストーリーを動かす要因だからじゃ。
物語の進行に関係のない話はこの段階では考えてはならん。
キャラクターとはストーリーの要請に従って作るべきものなのじゃ!」
ブンコ「わかりましたよ、わかったけど師匠、
仮筋なんていうあらすじのテンプレートなんか使ったら
オリジナリティーがなくなってしまいませんかねえ?」
ぴこ蔵「ふぁっふぁっふぁ! ふぁーっふぁっふぁっふぁ!!」
ブンコ「な、なんだー? すっごく笑ってるぞー」
ぴこ蔵「これを使って自分で一度書いてみればわかるが、
ストーリー作りはそんなヤワなものではないぞ!
このカリスジの恐ろしさとは、たったこれだけなのに、
使う者の全てを引き出してしまうところにあるのじゃ!
展開は無限じゃぞ!」
ブンコ「ひえ〜っ!! 恐るべしカリスジ!!」
「完全なる秘伝の書」ダイジェスト版終了
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