どんでん返しとは

読者や観客を驚かし、思わずアッと言わせる「どんでん返し」は
エンタテインメントの醍醐味です。
しかし、その役割は単なるドッキリ効果だけにあるのではありません。
どんでん返しは起承転結でいうところの「転」にあたる
非常に重要な部分なのです。
あらすじ.comはこの『「転」から物語を作る方法』にこだわります。
全てを「どんでん返しを成立させるため」に作っていくことで
最初から必要な伏線やサブプロットが把握できるため、
緊密で無駄のない物語が効率的に構築できるからです。
しかもこの方法だと確実に「最後まで」作ることが出来ます。
どんでん返しを作ることで「結末」も導きやすくなるからです。
今まで、物語を書き始めたことはあっても、
なぜか最後まで書き終えられなかったあなたや
途中で悩んで投げ出してしまいがちだった方には
ぜひ試してほしい創作法です。
派手なトリックだけがどんでん返しではありません。
地味で目立たないけれども非常に効いている。
物語の根底に関わるいい仕事をしている。
そんなどんでん返しを作る手順をまとめ、
これから、その一部を公開していきます。
型を知って型を破る
型破りな物語の「型」を知る
どんでん返しという娯楽作品には欠かせない技術を中心に据えて、
読者がついつい引きずり込まれるストーリー展開の土台を作りました。
これが創作法の全てだなんて言いません。
ただし、これを知っていると知らないとでは、随分効率に差が出ます。
「型」というのはそういうものです。
これまで、その強烈な独自性ゆえに日の目を見ることのなかった
あなたの悪魔の如き才能は、型に嵌めることでついに完成するのかもしれません。
むしろ型に嵌めることで、これまであなたを逆に狭い枠に閉じ込めていた
ユニークなるがゆえの「非客観性」や「わがまま」の排除が可能になり、
はじめて他者と感覚を共有でき、あなたの独自性が伝わる…。
そう、「型」こそがその輝きを引き出す唯一の鍵かもしれないのです。
天才作曲家モーツァルトは「型」を駆使して
数多くの名曲を生み出し続けました。
例えば「ジュピター音型」(C→D→F→E)というものがあります。
古くから多くの作曲家に使われていた「型」ですが、
モーツァルトも大のお気に入りでした。
この「型」は、8歳で作曲された交響曲第1番をはじめ、
生涯を通じてさまざまな楽曲に使われ、
最後の交響曲である交響曲第41番『ジュピター』にも用いられています。
短い人生にたくさんの楽曲を作り出した天才の秘密は
「型」を使いこなすことにあったのです。
「型」を知り抜き、踏襲することによって、
「自分が表現したいイメージ」の核心にすばやく到達し、
しかもその「型」を破っていく。
貴重な時間を消費して「よくある話」を作ってしまう愚を避けるには、
逆に「よくある話」のパターンを土台にして
自分だけの「どこにもない話」に変えていくことです。
最も悲惨なのは、古今東西のストーリーで頻繁に使われている
代表的な「型」を知らないこと。
そして、長い歴史を通じて人類が築き上げてきた物語の基礎工事たる
「型」の合理性に無自覚なこと。
誰もが知っているおなじみのパターンを応用して、
誰も見たことのない世界を無尽蔵に生み出すには
どこをどう使えばいいのか?
何に注意して書けば能率的なのか?
「型」を軽んじてはいけません。
それは神話にも登場するほどの歴史を持つ、
何千年にも及ぶ人類の遺産です。
新しいものを生み出すためには伝統を知らなければなりません。
いったん型に嵌めることで、初めて反発が生まれ、
型を破ることができるのです。
試してみましょう。
気に入らなければ使わなければいいのです。
「型」を知ることにリスクはないはずです。
01 どんでん返しの作り方
ブンコ「ぴこ蔵師匠、『どんでん返し』をどう作るのか?
というのがテーマなわけだよね?」
ぴこ蔵「そういうことじゃ。それではさっそく質問じゃ。
『どんでん返し』を最も簡単に言い表すと何じゃと思う?」
ブンコ「…? さっぱりわかりましぇん」
ぴこ蔵「よいかな、耳の穴かっぽじって聞きなさい。
どんでん返しとは…
『 αと見せかけて、本当はβである 』ことじゃ!」
ブンコ「αと見せかけて、本当はβ…?」
ぴこ蔵「これがどんでん返しの基本形なんじゃよ」
ブンコ「たったこれだけ?」
ぴこ蔵「さよう! あとはいかに読者に
αと思い込ませるかだけのことじゃな」
ブンコ「今度は単純すぎてわかんない」
ぴこ蔵「それではもう一度。《αだと思っていたらβだった》
これがどんでん返しの構造じゃ」
ブンコ「つまり、予想や思い込みをひっくり返されるってこと?」
ぴこ蔵「さよう。ポイントは"思っていたら"の部分じゃ。
誰が"思っていた"のかというと『読者』なのじゃ。
つまり作者側からいうと
《αだと思いこませておいてβを出す》
という、読者に『ミスリーディング』させる技なのじゃ。
どうじゃ、思いっきり簡単じゃろ? 」
ブンコ「シンプルだねー」
ぴこ蔵「『【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う』
これが読者を物語に引き込むためのベーシックな構成である。
そして読者を満足させるためになくてはならないのが
「どんでん返し」なのじゃ。
『αと思ったらβだった』がその基本構造である。
この「どんでん返し」を構成の中心にすえて肉付けをすれば
『面白いストーリー』が完成するのじゃ!」
ブンコ「で、その肝心の「どんでん返し」はどう作るのさ?」
ぴこ蔵「さよう。手っ取り早く言うとじゃな、
どんでん返しには明確なパターンが存在する。
最初はとにかくその中から選択すればよいのじゃ」
ブンコ「マ、マジで? それってチョー楽勝じゃん!」
ぴこ蔵「では、どんなパターンがあるのか???
ズバリ言おう!
わしは「どんでん返し」を全部で10タイプと見ておる!」
ブンコ「ええっ!? どんでん返しって、たった10タイプ?!」
ぴこ蔵「いわば最大公約数じゃな。
細かく分けていけば50、100とどんどん分けられる。
しかし、それでは「どんでん返し」を作ろうとするたびに
分厚い事典が必要になってしまうじゃろう?」
ブンコ「たしかに…」
ぴこ蔵「いつでもどこでもどんでん返しを考えるためには、
常に頭の中にその構造を思い浮かべる必要がある。
10タイプというのは、
これ以上少ないと分ける意味がなくなってしまうし、
多いと全体像を把握できなくなるギリギリの数なのじゃ」
ブンコ「ふ~ん。じゃあ、その10タイプを覚えると
どんないいことがあるのさ?」
ぴこ蔵「この10タイプさえ知っていれば、
もうどんでん返しのネタに困ることはない。
映画や小説など、さまざまな物語の「どんでん返し」が
簡単に分析・理解できて、
あっという間に、次々に、作れてしまうのじゃ!」
ブンコ「ではさっそくぴこ蔵老師! 10タイプのどんでん返しとやらについて
説明してちょーだい!」
ぴこ蔵「おっと、その前に、前提となる条件を言っておこう!
面白い物語の基本的なパターンとは、何度も言うが、
【目的】を追う主人公が、邪魔する【敵】と戦う話じゃ。
実はじゃな、
どんでん返しはこの2大要素である
『目的』あるいは『敵』に仕掛けるのじゃ」
ブンコ「『目的』のどんでん返しと『敵』のどんでん返しがあるの?」
ぴこ蔵「うむ。そういうことじゃ。
【目的】と【敵】のどちらにも仕掛けることができる。
そして、そのうち【目的】のどんでん返しには2タイプある。
まずは『目的』のどんでん返しから説明しようかの」
02 目的のどんでん返し「ハナサカ」
『目的』に仕掛けるどんでん返し
★「花咲かじいさん」に見るどんでん返し
ブンコ「師匠、そもそも『どんでん返し』って何ですかあ?」
ぴこ蔵「よしよし、わかりやすく説明するぞい。
わかっているようで実は他のものと混同している場合が多い。
それがどんでん返しなのじゃ。
例えば、ブンコちゃんよ、
お主はおとぎ話の「花咲かじいさん」を知っておるかな。
簡単に語ってみよ!」
ブンコ「えーと、大体こんな感じ↓だったと思うけど…」
◆花咲かじいさん
昔々あるところに正直じいさんが住んでおりました。
ある日のこと、愛犬ポチが裏庭で騒ぐので、畑の真ん中を掘ってみたら大判小判がざっくざく!
それを見ていた隣の極悪じいさん。さっそくポチを盗み出して、自分の畑で鳴かせます。
正直じいさんは驚いてポチを返せと言いますが
「こりゃわしの犬だもん。ポチだというなら証拠を見せろ」
極悪じいさんは相手にしません。
そのうち、鳴かないといって虐待されていたポチがついに鳴きました。
極悪じいさんが躍りあがってその場所を掘ると、汚いガラクタがざっくざく!
ぶちキレた極悪じいさんはその場でポチを叩き殺してしまいました。
驚いたのは、ポチの様子を胸を痛めながら物陰から見守っていた正直じいさん。
こときれたポチの亡骸を抱きしめて泣きながら家に帰っていきました。
正直じいさんは、そんなポチの遺骸を焼いて灰にしました。
そして、近所の山に散骨したのです。
するとそこに生えていた何百本もの桜がいっせいに見事な花を咲かせました。
丁度その場に居合わせた殿様が、この様子を見て感激し、正直じいさんに大判小判をごっそり与えました。
これをまた見ていた隣の極悪じいさん。
よーし俺も、とばかりにかまどの灰を持ち出して、桜の木に撒きました。
するとその灰が殿様の目に入って、下郎無礼なりと怒りを買い、
極悪じいさんはその場でバッサリと斬り捨てられましたとさ。
※民話にはさまざまなバージョンがありますので、あなたの知っている
「花咲かじいさん」とは多少の相違があるかもしれません。ご了承ください。
ぴこ蔵「それでは聞くが、この話のどんでん返しはどこにある?」
03 どんでん返しはどこにある?
ぴこ蔵「さあどうじゃ! 『花咲か爺さん』のどんでん返しは
どこにある?」
ブンコ「な、な、な、なに~っ?! どこにあるう?!
う~ん、そうだなー…。
正直じいさんが大判小判をもらって
極悪じいさんが死刑になっちゃうところ?」
ぴこ蔵「一見するとそう見えるじゃろうが、それは違う。
それはいわゆる『意外な結末』であって
『どんでん返し』ではないのじゃ」
ブンコ「え? 『意外な結末』は『どんでん返し』じゃないの?」
ぴこ蔵「無関係ではないが、似て非なるものなのじゃ。
『意外な結末』は
『どんでん返し』によって引き起こされる。
…というのが正しい筋道なのじゃ!
『どんでん返し』が論理の上に成り立つのに対して、
『意外な結末』は、
読者に感覚的な満足や衝撃を与えるための演出効果じゃ。
どんでん返しさえ決まれば、結末そのものは
ハッピーエンドでもアンハッピーエンドでも好きにしてくれい」
ブンコ「う~。なんだかわかりそうでわからん!」
ぴこ蔵「なお、どんでん返しと意外な結末、
その二つが一度に起こる場合もあるぞ。
その場合は『オチ』と言う。ただし、
『オチ』た瞬間、物語はパキッと終わらなければならない。
こりゃもうみなさんよくご存知の通り
ショートショートや短編でよく用いられる手法じゃな。
これは古くから数々の技術が研究され、開発されておる。
とてもここでは解説しきれないので
この『意外なオチ』に関してはまた別の機会にやろう」
ブンコ「あのー、師匠、それで『花咲かじいさん』だけどさー、
この話のどんでん返しがよくわからなくなっちゃった…」
ぴこ蔵「では最初から考えてみよう。さあ、主人公は誰じゃ?」
ブンコ「花咲かじいさん」
ぴこ蔵「それではその敵は誰じゃ? 」
ブンコ「極悪じいさん」
ぴこ蔵「さて、それでは主人公の『目的』は何じゃ? 」
ブンコ「え? 大判小判…かな?」
ぴこ蔵「違うな。
主人公は一度も大判小判が欲しくて行動してはおらん。
思い出せ。『目的』を生み出すのは『欠落』じゃ。
主人公が無くした物は何じゃ?」
ブンコ「ああ、そうか。
いったん極悪じいさんに奪われたポチだね。
主人公が目指したのは『ポチの奪還』。
つまり目的はポチだー!」
ぴこ蔵「その通り!
ところがポチは死んでしまった。奇跡はもう起こらない。
誰もがそう思ったとき、なんとびっくり!
死んだはずのポチの灰が桜を満開にしたのじゃ!」
ブンコ「そうか! それがどんでん返しなんだね!」
ぴこ蔵「一度失われたと思っていた不思議な力が、
実はまだ失われていなかった。
これが『目的』のどんでん返し・その1じゃ。
死んだはずの『目的』が、実は生きていたわけじゃな」
ブンコ「あれ? ちょっと待って、ぴこ蔵師匠!
それじゃ、極悪じいさんの撒いた灰が殿様の目に入って
極悪じいさんが手打ちにあっちゃうシーンは?」
ぴこ蔵「それが『意外な結末』なのじゃ!
この部分はなくてもお話は成立するのじゃが、
それじゃと読んでいる人がすっきりせん。
そこでどんでん返しを受けて、
さらに効果を倍増させる結末を作ったわけじゃよ。
というわけで、最初に紹介するのは
【目的のどんでん返し・ハナサカ(TYPE09)】じゃ。
◆どんでん返し(TYPE09)ハナサカ◆
死んだと思っていた【目的】が、実は生きていた。
04 目的のどんでん返し「アオトリ」
「青い鳥」に見るどんでん返し
ぴこ蔵「さて、【目的】のどんでん返し・その2についてじゃが、
こちらのタイプは、あの世界的に有名な物語、
メーテルリンクの戯曲『青い鳥』に隠れておるのじゃ!」
ブンコ「チルチルとミチルの話だよね」
ぴこ蔵「実はこれまた「どんでん返し」と「意外な結末」が
はっきり分かれておるので、そこも気をつけてみてくれ」
ブンコ「『青い鳥』の筋はこちら
◆青い鳥 ~メーテルリンクの戯曲より
とても貧しいチルチルとミチルという子どもがいました。
夢の中で魔法使いの老婆が教えてくれました。
「青い鳥をつかまえてくれば、あなたたちは幸せになれます。
隣に住んでいる足の悪い女の子も治るでしょう」
そこで二人は青い鳥を求める大旅行に出かけます。
しかし、結局二人は青い鳥をつかまえることができずに、
疲れ果てて家に帰ってくるのでした。
そこで二人は同時に夢から覚めます。
「青い鳥って結局いなかったね。」
がっかりしながらふっとかたわらを見ると、
なんと以前から飼っていたフツーの鳥が、
見る見る青い鳥に変わってゆくではありませんか。
「青い鳥はこんなに近くにいたんだ」
と言って二人はびっくりします。
そこへやって来た隣の足の悪い女の子に
青い鳥を持たせてやりました。
すると、たちまち足が治ってしまったのです。
「やったぜ、ぼくたちはなんでも願いのかなう青い鳥を見つけた!」
そしてはしゃいで鳥かごから出した青い鳥をとりっこしていると、
青い鳥はどこか遠くへ飛び去ってしまいました。
最後にチルチルが、力なく訴えます。
「どなたかあの鳥を見つけた方は、どうぞ僕たちに返して下さい。
僕たちには、あの青い鳥が必要なんです」
ぴこ蔵「さて、この「青い鳥」のどんでん返しはもうわかるな?」
ブンコ「よーく考えたらわかっちゃった!
以前から飼っていたフツーの鳥が、
見る見る青い鳥に変わってゆくところでしょ!」
ぴこ蔵「では、『意外な結末』はどこの部分じゃ?」
ブンコ「せっかく手に入れた青い鳥が飛び去ってしまうところ!」
ぴこ蔵「よろしい! ちょっと賢くなったではないか!
つまりこれが【目的のどんでん返し・アオトリ(TYPE10)】じゃ!」
◆どんでん返し(TYPE10)アオトリ◆
【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、
実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。
05 どんでん返し組み立ての秘技
どんでん返しを組み立てる方法
ぴこ蔵「『花咲かじいさん』と『青い鳥』のどんでん返しは
主人公が果たすべき【目的】に仕掛けられておるのじゃ」
ブンコ「ってことは、老師!
10タイプのどんでん返しのうちの2タイプは
この『【目的】のどんでん返し』だってことだよね?」
ぴこ蔵「そういうことじゃ。これで全10タイプのうち
【TYPE09】【TYPE10】はわかったな。
さて、残りの8タイプはすべて『【敵】のどんでん返し』じゃ!」
ブンコ「はあぁ…。まだ、あと8タイプもあるのかぁ…。
『花咲かじいさん』と『青い鳥』ぐらいなら覚えられるけど
正直、あと8タイプ丸暗記するのはつらいかも」
ぴこ蔵「うーむ、やはりそうか。しかし、もっともな話ではあるな。
そこで、わしはさらにこの『敵』の8タイプを
いちいち覚えていなくても素早く組み立てられる方法を
編み出したのじゃ!」
ブンコ「どんでん返しを組み立てる方法? どうやって?」
ぴこ蔵「それは『3匹のモンスター』を使う技じゃ!」
ブンコ「3匹ってだれとだれ?」
ぴこ蔵「かの有名な世界3大モンスターなのじゃ!
●吸血鬼ドラキュラ
●狼男
●フランケンシュタインの怪物
いやー、いずれ劣らぬ怪物界のスーパースターじゃな。
この3匹の組み合わせによって「どんでん返し」ができる。
どうじゃ! これなら忘れることはあるまい!」
ブンコ「ドラキュラ、狼男、フランケン。
3匹のモンスターが「どんでん返し」を作る…。
師匠、アタマは大丈夫かー?」
ぴこ蔵「ふっふっふ。まあ、これだけではワケがわかるまい。
ただし、言うておくぞ。
お主がどんでん返しを作るときに、
この3匹のモンスターを思い浮かべるだけで
いささかの混乱もなく効率よく組み立てられるのじゃ!
06 【敵】のどんでん返しの構造
【敵】の「どんでん返し」を生み出す3匹のモンスター!
どんでん返しの構造
ぴこ蔵「それではどんでん返しを仕掛ける方法を具体的に説明しよう!」
どんでん返しの構造は
【敵の正体はαだと思っていたら、βだった】
これをひっくり返して作者側から見れば
【敵はαだと思わせておいて、最後にβであることをバラす】
この時のα、βの役割は
α=囮の敵(偽敵)
β=本当の敵(本敵)
とも言えるのじゃ。
ここでのポイントは「α」と「β」が
全く別の登場人物であること。
時々、勘違いをして「α」と「β」を一人の人物で
間に合わせてしまうことがあるが、
これは混乱のもとになるので絶対にやってはいけない。
αからβへ。
囮が退場し本物が登場する。
意外な敵の正体が明らかになる
その瞬間こそが「どんでん返し」である。
つまり、読者はαを「敵」だと誤解して読み進み、
どんでん返しで「本当の敵」はβだったと知らされるわけじゃな。
簡単じゃろ? でも、これが効くのである。
こんなに簡単な設定をするだけで、読者は驚いてくれるのじゃ。
さらに言えば、
『敵』のどんでん返しの作り方の第1歩は
【αとβに、3匹のモンスターを当てはめる】
ことから始まるのじゃ!
07 【敵】の本質は「恐怖心」である
どんでん返しはモンスターで作れ
ぴこ蔵「どんでん返しの基本構造
『敵の正体はαだと思っていたら、βだった』
このαとβに当てはめるモンスターさえ決めれば、
お主のストーリーはもう半分以上完成したようなものなのである。
そして、この「敵(αおよびβ)」は先ほど言ったとおり、
わずか3種類にすぎないのじゃ!
●3匹のモンスター
ぴこ蔵「ところでブンコちゃんよ。
お主の物語で主人公の敵役となるのは何者じゃ? 」
ブンコ「そりゃ悪い奴に決まってますよ!
だってあたしの主人公は正義の味方だもん。
敵は悪くて卑劣で恐いヤツ! 顔なんか鬼みたいでさー」
ぴこ蔵「典型的な勧善懲悪パターンじゃのう。
勧善懲悪は強烈な対立構造を持っておるから
ストーリー作りには使いやすいのじゃが
それだけではすぐに行き詰まるぞ」
ブンコ「え~っ? だって、敵役は悪人でなきゃダメでしょ?」
ぴこ蔵「『敵役』とは人間が戦って克服するべき対象である。
ただし、克服するべきは「悪」ではないぞ。
人間が克服すべきは自らの恐怖心なのじゃ!
例えばお主がスポーツ根性ドラマを書いたとする。
主人公は高校生ボクサー。
敵役は先輩プロボクサーじゃ。
二人は宿命のライバルである。
しかし、先輩ボクサーは「悪」と言えるか?」
ブンコ「あ。そっかー。敵といっても悪とは限らないか」
ぴこ蔵「でも、そいつは強くて恐ろしい」
ブンコ「そりゃーそうですよ。
弱くて泣き虫で怖くなけりゃ敵にならないもん」
ぴこ蔵「そういうこと。充分恐いからこそ敵役として認められる。
つまり、人間にとって意義のある戦いとは
『恐怖』への抵抗のことなのじゃ。
『恐怖心』のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えん。
したがって、ストーリーに登場する「敵」とは、
主人公が戦うべき『恐怖の象徴』と言ってもええじゃろう」
ブンコ「敵の本質は『悪』というよりも『恐怖』なのか…」
ぴこ蔵「そこで3匹のモンスターの登場じゃ!」
ここまでのまとめ
★どんでん返しのある面白いストーリーの基本型は全10タイプ。
目的タイプその1 (どんでん返しTYPE09・ハナサカ)
邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その途中、いったんは死んだと思ったその【目的】だったが、
実は生きていたのである。
目的タイプその2 (どんでん返しTYPE10・アオトリ)
邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、
実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。
そして…
敵タイプ1~8
【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う。
しかし、αだとばかり思っていたその【敵】の正体は、
実はβだったのである。
※そのαとβに
恐怖の象徴である3匹のモンスターを当てはめることにより、
8タイプの「敵に仕掛けるどんでん返し」が自動的に出来る。
そして、ここからがぴこ蔵オリジナル「3匹のモンスター理論」なのじゃ!


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