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面白い物語創作講座 短編・ショートショートの巻
ヲチの研究
〜ショートショートを書いてみよう!
●質問●
「ショート・ショート」についてです。
極端に短いもの(400字とか)の作品でも、
やはり「あらすじ黄金の十箇条」に従った方が
よりよいのでしょうか。
★お答えします★
ぴこ山ぴこ蔵ですのじゃ。うひょひょひょい。
さっそくシュールなオチのショートショートを書いてみました。
質問への回答と解説はその後で。
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タイトル:「不思議な畑」
タマフリーの町のはずれにゃ不思議な畑があって、
そこには何でも望んだものが生えてくるんじゃと。
神様のお力と讃える人間が大多数じゃったが、
中には悪魔の仕業と陰口を叩く奴もおる。
どっちにしても貧乏人には同じさね。
ただで物をもらえるんなら相手が誰だろうが
ありがてえこっちゃないか。
けんどもそのためには、ひとつだけ条件がある。
「生やしてえ」と思うものと同じだけの価値がある物を
その畑に埋めなければならんのじゃ。
これがけっこうむずかしい。
価値というても金額とは関係ない。
娘が編んでくれたマフラーを埋めたら
バケツにあふれるぐらい銀貨が生えた男がおった。
それとは逆に、立派な家屋敷が欲しくて
ご先祖様から伝わった大きなエメラルドを埋めた欲張りがおったが、
生えてきたのは穴の開いた麦藁帽子一つっきりということがあった。
しかし、後になってよくよく聞いたら、
男の祖母さんが若かったころ、
暮らしに困って本物のエメラルドは質に入れて流してしもうて、
よく出来たガラス玉とすり替えて黙っとったんじゃそうな。
不思議な畑は嘘をつかねえ。
トンガリ頭はおっ母さんと二人暮し。
この辺りの貧乏人の中でもかなり下の方じゃったな。
朝早くから牛乳配達して家計を助ける感心な子どもじゃったよ。
ズボンこそツギが当たっておったが、
シャツはいつもきれいに洗濯して真っ白じゃった。
ある日のこと、タマフリーの町で年に一ぺん、
大々的に開かれる収穫祭で、
トンガリ頭はその不思議な畑の
一回こっきり御利用券を手に入れた。
町長が箱の中から引いた数字を助役がでっかい声で3べん読み上げても、
なかなか当選者が名乗り出ないのでみんながざわつき始めたとき、
ふらふらになったトンガリ頭が手を上げたんじゃ。
ガキのくせにアケビ酒でも飲んだかちゅうて怒った早とちりもおったが、
本当んところ、あの子はぶったまげて息をするのを忘れておったんじゃ。
さて、それからトンガリ頭は、母親と二人で頭をひねった。
家も欲しいし、馬車も欲しいが、
なにしろ貧乏な家には大して価値のある物がない。
「みんな飲んだくれのろくでなしのお父ちゃんが叩き売っちまったからなあ」
トンガリ頭がそう嘆くと、おっかさんが言った。
「確かにお父ちゃんは何もかもすっからかんにしておっ死んじまったけれども、
お前がいたんで私は苦労だと思ったことはないよ」
「でも、おっ母さん、もう貧乏とはこれっきりだ。
そうだ、俺の靴を埋めよう。革だからきっと値打ちがあるはずだ」
おっ母さんはきっぱりと首を振った。
「ありゃいつかお前が大人になって都会に出るときに履いていく大事な靴だ。
遠くまで裸足で行っては怪我をする。埋めてはだめだ」
「俺は大丈夫だよ。足の裏は石みてえにかてえもの。
靴なんかいらねえからおっ母さんのベッドをもらおう。
床の上に寝ていては体が冷える」
するとおっ母さんははらはらと涙を落として言った。
「ああ、考えてみれば私は幸せだよう。
くだらねえ亭主はとっととくたばって、
こんなに親孝行な息子が一生懸命働いてくれる。
これ以上のものを望んだら罰が当たる。
畑には一番役にたたねえゴミ屑でも埋めておいで。
そのかわりに何かつまらんものでももらえればそれでええじゃないか」
母親にそういわれたトンガリ頭は、
貧乏暮らしの家の中でもいちばん価値のなさそうな、
晩飯の豆の食べかすを皿から集めて畑に埋めたんじゃ。
そして翌朝早く畑に行ってみると、
酔っ払った親父が生えていたそうな。
<終>
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<ぴこ蔵の秘密解説>
●オチが命! ショートショートは一気に書ききるべし
長編と短編ではストーリーの作り方が全く違う。
とくに16ページぐらいの短編マンガなどでは絵の見せ場も作らねばならず、
当然のことながらいろんな話をしている暇は無い。
1テーマに絞りこみ、それも最後のコマで印象的にオチている作品でないと、
賞などに応募してもなかなか目立つのは難しいじゃろうな。
その意味で、小説のジャンルであるショートショートの構成は
短めのマンガやシナリオにも非常に有効である。
そこで今回は「ショートショートの作り方」を研究してみたい。
さて、ショートショートはアイデア一発で書くものじゃ。
思いついたら一息で書ききってしまうのが基本。
下手なあらすじより短い場合も多いもんね(^^;)
あらすじの黄金10パターンを展開している暇はないのじゃ。
「面白い物語の基本構造」も関係ない。
ついでに言えばプロもアマも関係ない世界じゃ。
求められるのはオチの切れ味だけ。全てはそのために存在するわけじゃ。
オチの参考にするなら、たくさんの作家の作品を集めた
アンソロジーみたいなものの方がよいかもしれんのう。
ショートショートはあまりにも膨大にあるので
図書館で山のように借りては片っ端から読むべし。
ジャンルも様々。
日本の伝統的なショートショートは落語じゃろうな。
アニメ映画にもなった「頭山」なんて大傑作じゃ。
本当に残念じゃが、ショートショートにセオリーはない。
(セオリーで作っても全然面白くないし)
こればっかりは自分でひねり出すしかないのが
ショートショートなんじゃよ。
書いてて最高に楽しいのがショートショート。
いいアイデアが出てきたときはその場で書くのがコツと言えばコツ。
うーん…。
これだけではお役に立つとは思えませんので、
わしのやり方をひとつお教えしちゃうのじゃ。
作り方のセオリーではないぞ。発想法じゃ。
オチをどうやって発想すればよいのか?
これがショートショートの究極のノウハウである。
ところが実はその方法は千差万別である。
物語の数だけオチは存在し、
人の数だけアイデアの発想法はあるのである。
しかし、唯一の解がないということは、
正解はたくさんあるということでもある。
これから教えるコツはそのうちの一つの方法じゃ。
試しにやってみてもいいかもしれんな。
それは「2つのイメージの意外な組み合わせ」を探し出し、
1枚の絵にして結末に持ってくるという方法。
「2つの単語を組み合わせる」という方法は、ジャンニ・ロダーリという
イタリアの詩人が提唱しているもので、とりたてて新しい技ではないが、
これを「1枚の絵」に仕立ててオチに使う、というのが今回のツボじゃ。
例えば、「人間」と「家庭菜園」とか。
全く関係ないものをとりあえず無理やり組み合わせるのじゃ。
イメージ探しのためには単語カードなどを作って
無作為に組み合わせてみるのもいいじゃろう。
けっこう事務的に、機械的にやったほうが面白い結果が出るものじゃ。
ちなみに、このたびあらすじ.comでは、ジャンニ・ロダーリが説く
「2つの言葉をランダムに結びつけて意外な組み合わせを作る」という
『ファンタジーの二項式理論』に則った発想支援ソフト
「Netamaze」を開発しました。
「ふたつのことばの間には、ある距離が必要である。一方のことばが他と
まるで関係のないこと、およびその接近がかなり異常であることが必要である。」
(出典:「ファンタジーの文法 物語創作法入門」
ジャンニ・ロダーリ著 窪田富男訳 ちくま文庫)
――という原理をプログラミングしたものですが、
さらにこれをあるシステムによって物語の発想用に特化しています。
詳しくは「Netamazeで発想する
“漫画原作にも使える”ショートショートの作り方講座」をご覧下さい。
さて、センスと偶然に全てを託して漂ううちに、
「畑に人間が生えている」みたいなヘンテコなイメージが
ふと浮かんでくる瞬間がある。(ない時も多いが)
この時、目に見える一枚の絵になるように想像するのじゃ。
理屈や抽象論を頭の中で捏ね回してはいかん。具体的に行こう。
脳内で、細部まではっきりと見えるぐらいの絵にすること。
さらにここでのポイントは、
不思議なら何でもいいというわけではないのじゃ。
「ここから始まるのではなく、ここで終わる」絵を考えること。
一目見ただけで全てがわかり、しかも強烈な印象と異常さが残る絵。
「畑から人間が生えている」
これはいったいどんな畑で、だれがそんな所に生えているのか?
ここで我々はこの短い一文の中に、
どうあっても物語の4大要素を発見しなければならない。
それは、
●舞台
●人間関係
●道具
●背景・ルール
というものである。
イメージの中からこの4つを引っ張り出せたら、もう勝ったも同然じゃ!
そしたら「そして主人公が翌朝早く畑に行ってみると、父親が生えていた」
みたいな結末の一文を無理やり作っちゃうのだ。
あとは、なぜそんなことになったのかを無理やりまとめる。
コツは伏線。いかにオチが読めないようにこいつを張るかである。
あらすじ
不思議な畑がある。(舞台)
そこには望んだものが生えてくるんだけど、
そのためには同等の価値がある物を埋めなければならない。(ルール)
母親と二人暮しの貧乏な少年がある日、その畑の一回使用権を手に入れる。
母親と二人で大金を儲けようと頭をひねるが、
家には大した価値のある物がない。
「みんなあの飲んだくれのろくでなしのお父ちゃんが叩き売っちまったから」
息子は、貧乏暮らしの家の中でも
最も価値のなさそうな生ゴミ(道具)を埋めた。
そして翌朝早く畑に行ってみると、
酔っ払った父親が生えていた。(人間関係)
あらすじにするとこんな感じじゃなー。
ショートショートは面白いのじゃ。
ぜひ、おぬしも書いてみることじゃ!
書けばわかる!

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