神は細部に宿ると言う。
小説はディテールを書き込むことで「人間」を描写する。
「人間」さえ書けていればトリックやどんでん返しやオチなどは必要ない。
「人間」さえ描けていればそれだけで充分面白い。
ただ、それを書くのがむずかしいのだ。
長い地道な描写の修練と、人間観察の手間、
そしておそらくは豊かな詩の才能が必要だ。
ところが、私には時間がない。
応募したい大賞の締め切りまであと3ヶ月。
あるいは、発表会まであと1ヶ月。
もしくは、オリジナルストーリーのプレゼンが明日の朝に迫っている。
正論には納得するが、実際のところ、私は追い詰められている。
手間はかけられない。締め切りは才能以前の問題だ。
一刻も早く、誰が読んでも面白いストーリーを
ひねり出さねばならない状況なのだ……。
これは、そんなあなたに贈る散文的で実践的な創作講座である。
もちろん物語を作るのに「これが正解だ」などという方法論は存在しない。
人生に模範解答がないように、創作にも無限のやり方がある。
ただし、これがエンタテインメント作品となると事情は少し変わってくる。
娯楽に求められるのは、まず第一に「面白さ」だからである。
つまりこれは、
「娯楽として供されるストーリー」の作り方を研究する
『面白い物語創作講座』なのである。
これを読んでいるあなたは今、
故あって物語を作る必要に迫られているはずである。
大賞への応募作を書くためかもしれないし、
次の発表会でオリジナルの芝居を演じるためかもしれない。
または仲間と映画を撮るのかもしれないし、
あるいはただ自分の力を試すためかもしれない。
まず大事なのは、あなたが書こうとしている物語が
「面白くなくてはならない」ということである。
誰もがそれを読んで面白がってくれなければ困るのだ。
多少の前衛的手法は許されるが、あまりにも実験的なテクニックは
読者に敬遠されるリスクが大きいことを忘れてはならない。
基礎的な知識不足による稚拙さは言わずもがなである。
また、その物語は妥当な時間・分量内で収められなければならない。
小説ならば文庫本1冊分程度、
映画で言えば2時間程度という許容量の枠がある。
あなたはその中で、違和感なく物語を展開させ、
読者や観客をストーリーにぐいぐい引っ張り込み、
あっと言わせたり笑わせたり泣かせたり感動させたり
恐怖におののかせたりしなければならないのである。
しかも、書き上げるのに10年も20年もかけられるわけではない。
長くても1年後、短ければ明日の朝までに、などという締め切りがある。
このように、あなたが作ろうとしている物語には
実にさまざまな制約があるのが実情だ。
書き始めるのは簡単そうに見えるが、
最後まで書き終えられる人はとても少ない。
自己満足だけでは乗り越えられないのが創作の壁なのである。
では、初心者が物語を作ることはらくだが針の穴を通るほど難しいのか?
……実はそうでもない。
物事にはやり方というものがあるのである。
速い球を投げるにせよ、魚をたくさん釣り上げるにせよ、
何事にもセオリーがあり、攻略法というものが存在するのが
人の世の常なのである。
もちろん面白いストーリーを作る上でも同じなのだ。
楽しく素早く物語を創作するために有効なのは「型」である。
古き歴史と因習を愛し「型」に則って行動することを美の規範としていた
日本においても、
伝統的文化の断絶が著しい昨今はこの「型」を軽視する人が多い。
しかし、それはとんでもない考え違いだと言わねばならない。
「型」とは、先人が試行錯誤を重ねた挙句に発見した法則であり、
多くは最も合理的なハウツーである。
叡智であり奥義である。
こと物語の創作において特に顕著な傾向だが、
オリジナルであろうとする気持ちが強いが故に、人は模倣を嫌う。
しかし、そのことによって合理的な筋道や定石を知らぬまま、
わがままや自分勝手を芸術だと錯覚する愚に陥りやすいのも確かである。
「型」とはそんな「好き嫌いで物を作る」レベルから脱却するための
客観的な視点を持つことの出来るツールなのだ。
あらすじ.comが提唱するのは
「起承転結」の「転」から物語を作るやり方。
いわゆる「どんでん返し」をストーリーの核に持ってくる方法である。
先に「転」を作るこの方法は、
目的地を定めてから旅に出る効率の良さと共に、
物語に「面白さ」を生み出すための
伏線やサブプロットを作りやすいという利点がある。
初心者で、ストーリーの作り方がわからないという方は、
まずこの型を学ぶことで、
物語構成の基本を体系的に身に付けることが出来るだろう。
手順を重視することでストーリーの合理的な流れが理解でき、
破綻することなく語れるようになるのである。
そして何より、実際に最後まで物語を完成することが出来る。
また、すでに自分の「型」を持ち、
それを使うことで支障なく創作ができる方もいらっしゃることであろう。
しかし、もしかするとあなたにもっと適した創作手順があるかもしれない。
いつもと違う「型」を試すことは、
あなたの物語作りのバリエーションを増やすことになることだろう。
たくさんの「型」を知ることの重要性は、
むしろ日々の創作に追われるプロフェッショナルにこそ
理解されやすいのではあるまいか。
さあ、あなたの席の準備をしておいた。
よろしければご一緒に焚き火の前に座って、
尽きることのない人生の神秘を語ろうではないか
講座INDEX
条件と手順 |
6の必要最低条件と15の攻略手順
|
|---|---|
基本の基本 |
面白い物語の基本形を一言で言うと
|
どんでん返しの作り方 |
どんでん返しの作り方を知りたいなら
|
主人公の成長 |
感動を呼ぶ主人公を描く方法
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悪の動機 |
悪とは「欲求」を超えた「欲望」
|
伏線と並行線1 |
伏線と並行線について分かりやすく語る
|
伏線と並行線2 |
伏線と並行線を実際に作ってみる
|

いよいよ核心にせまる!