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タイトル : 『イルナ』
伝説の時代。
女神、イルナはある人間の若者に恋をした。
しかし、若者の友人によって自分の性が魔性であると知られ、
ついに彼が彼女を受け入れることはなかった。
確かに、イルナ女神は男性を誘惑してはその生命を奪うとされていたが、
イルナはそれを告げた若者の友、エンキドゥを憎み、彼共々彼の生村を焼き尽くした。
そして。
神と人間とが共存していた時代から幾年月。
人の歴史の中で最も強大な帝国を作り上げた王がいた。
名を、古代の伝説の王に求め、ギルガメッシュという。
この時、イルナはギルガメッシュ王の妃であった。
彼がいるから日は昇り、世界は鮮やかだった。
しかし、神が人を愛することは太古からの天の法によって禁じられている。
伝説の時代から彼女は禁を破った罰を受け、苦しみが身を刻んでいたが、
だからといって彼のことを諦めようとはしなかった
そんな時、イルナのまわりからギルガメッシュ王が攫われた!
イルナは彼がいないことに耐えられない。
急がなければ自分は正気を失ってしまうだろうと悟る。
罰を受けてなお法を犯し続ける自分を戒めるため、他の神々が彼を攫ったのだとイルナは考え、
ギルガメッシュを取り戻すため、
神々の住まう香り高き杉の森へと急いだ。
しかし、森中を探すが彼は見つからない。
ついに森の最奥、
その実を食したものに永遠の命を与えるという常若の樹のもとへ行き着いてしまう。
大樹の根元で怒りと悲しみに身を震わせるイルナ。
そんなイルナに、大樹を守る怪物が襲い掛かった。
イルナはその力でもって何とか怪物を押し留めるが、ついに一撃を受けてしまう。
そこへ、神々の一人オルフェスが現れた。
オルフェスはイルナに改心を求めるが、彼女はそれを拒絶する。
そして、本当の敵・ハザンが姿を現わした。
ハザンは、イルナがかつて滅ぼした村の生き残りの末裔であった。
伝説から今に至る長い時間は、
一族を殺された恨みを風化させるどころか、より一層育んでいたのである。
ハザンは、イルナへの復讐のためにギルガメッシュ王を攫い、怪物を嗾けたのだ。
森に住まう神々は、先祖の恨みに執り憑かれているハザンを哀れに思い、
またそれほどの憎しみを受けようとも態度を改めないイルナ女神を罰するために、
ハザンに力を貸したのだという。
怒ったイルナは女神として与えられた力の全てを使ってハザンを殺そうとする。
しかし、そこへ捕らわれているはずのギルガメッシュが駆けつけた。
ギルガメッシュは同じ過ちを二度犯してはいけないと言い、
自分のために苦しませたことをイルナに詫びる。
かつてあなたが焦がれた王の代わりにはなれないが、
それでも自分は死ぬ時まであなただけを愛し続けると誓う。
瞬間、イルナの背に向けて短剣が投げつけられた。
ハザンはイルナの気がそがれる一瞬をずっと狙っていたのである。
放たれた剣がイルナの胸に刺さろうかというその時、
ギルガメッシュは彼女を庇い、代わりに短剣を胸に受ける。
ハザンは悔しさに顔を歪ませるが、驚いたのはイルナであった。
イルナは神であるゆえに不老不死の力を持つ。
そんな自分を、短い一生しか持たぬ人間であるギルガメッシュが庇ったことにショックを受けた。
彼女の瞳から始めて涙が零れた。
傷付いたギルガメッシュは最期の力で彼女の涙を拭い、そっと口付けするのだった。
イルナは彼の体を横たえると、
自分の神の力を彼に与え、代わりに彼の負った傷を自分の身体に移し変えた。
途端、胸から血を吹き上げ倒れるイルナ。
彼女は何かを請うように手を天に差し出すと、ゆっくりと瞼を閉じた。
そこに魔性などは欠片も無かった。
やがて目覚めたギルガメッシュは、
まるで天使と戯れ疲れたように眠る美しい妻を抱きしめると、常若の大樹の根元に埋葬した。
そして、放心したように動かないハザンを立たせ、一緒に人の世界へ帰ろうと促す。
何故、と問う彼女に彼が答えることはなかった。
森を去るとき、ギルガメッシュはオルフェスに問うた。
自分は不死の力を得たのか、と。
オルフェスは答える。
神々の父エンリルは、
汝に王としても運命を与えるも、
永遠を歩む宿命を与えず、と。
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