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「面白いストーリーの作り方」

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【面白いストーリーの作り方】
2017.12.28
 

いかにしてストーリーを面白くするか

 
ブンコ「あのさあ、ぴこ蔵師匠。物語にどんでん返しを入れれば面白くなるって、師匠はよく言ってるじゃん?」
 
ぴこ蔵「うむ、よく言うておる。というか、ほぼそれしか言うておらんがそれがどうした」
 
ブンコ「そもそもどんでん返しを入れるための物語が出来ないんだけど、これはどうしたもんかねー?」
 
ぴこ蔵「ははあん、それはおそらく背伸びをして難しいストーリーをこさえようとしとるんじゃろうな。最初は無理せず簡単な話から作ればいいのじゃ」
 
ブンコ「それはあたしが初心者だからってこと? 素人は複雑な話を作っちゃいけないの?」
 
ぴこ蔵「そうではない。初心者もベテランも同じじゃよ。作り始めはシンプルに、できるだけ単純に組み立てることがストーリー創作の鉄則なのじゃ」
 
ブンコ「へえー、そうなのかー。でも、実際、どのくらいがシンプルな話ってやつなのかが分かんないんだよ。
具体的な例を教えてくれると助かるんだけど」
 
ぴこ蔵「よかろう。それでは本日は、超シンプルな話を作って、それをどんどん面白くしていく4段階のプロセスを体験してもらおう。もちろんどんでん返しも放り込むぞ!」
 
ブンコ「頼むから、うんと簡単なのにしてね。ポンポーンと5分ぐらいで作れちゃうとラクでいいなー」
 
 

(1)シンプルなストーリーの典型的パターン

 
ぴこ蔵「シンプルで単純な話といえば、そうじゃなあ、例えば商品開発ストーリーというものを知っとるか?」
 
ブンコ「『私たちは1ヶ月噛み続けられるガムを作りました。
     途中には、こんな苦労やあんな失敗がありました。
     でもへこたれずにがんばって、ついに完成したのです』みたいな話でしょ?」
 
ぴこ蔵「それじゃそれじゃ。目標を決めて、努力して、たどり着く。いわゆる【達成・到達】タイプの物語であるな。これなら単純じゃろ?」
 
ブンコ「そう言われてみれば確かに、ゴールに向かってわっせわっせと突進するだけの単純な話が多いよね。でもさ、逆に言うと王道中の王道だよねー。なんかこのタイプだけで充分な気がするぐらい。だって、いろんな話に応用が効きそうだもん」
 
ぴこ蔵「うむ、さまざまな場面で使える最も基本的なシナリオだと言えるじゃろう。このように非常にシンプルでストレートなストーリーを作る場合、必要なのはたった3つの要素に過ぎないのじゃ」
 
ブンコ「たった3つでいいの?! 楽勝じゃん、それってどんなの?」
 
ぴこ蔵「簡単に言うぞ。
 
 ●ゴールの設定:主人公のゴールを定める
 ●過程:主人公がゴールに近づいていく
 ●到達:主人公がゴールに到達する」
 
ブンコ「なんていうか、当たり前すぎるっていうか、シンプルすぎるって言うか。ほんとにこれだけなのか肩すかし食らった気分です」
 
ぴこ蔵「ふふん、そういう奴に限って基礎が出来ていない。ゴールなど考えもしないで走り出す。どこへ行く気なんじゃ全く。当たり前だと思うんだったら自分で作ってみればいい。ほれ、何でもいいから今言え、すぐ言え」
 
ブンコ「えーと、ゴールと言えばサッカーだから……
 
 ●ゴールの設定:サッカーの大会で優勝を目指す!
 ●過程:トーナメントを勝ち上がる
 ●到達:決勝戦で勝つ!
 
うーん、さすがにシンプルすぎるか?」
 
ぴこ蔵「上出来ではないか。やれば出来る子じゃ!」 
 
ブンコ「いや、でも、ちっとも面白くないんだけど……。だってこれじゃまるで小学生の正月の初夢だよ。ドラマチックでもなんでもないし」
 
ぴこ蔵「ほほう、もっとドラマチックにしたいのか?」
 
ブンコ「そりゃそうだわよ! そもそもこんなに夢みたいにどんどん勝っていくわけないもん。
もっとリアリティーっつうか、説得力がほしいよねえ。あと、汗と涙と友情がテンコ盛りになってないと」
 
ぴこ蔵「よかろう! それでは話をもっとドラマティックにしよう。ただし、実はそのために注意するポイントがある。これこそが面白さの秘訣なのじゃ」
 
ブンコ「それだよ、それ。待ってましたぴこ蔵師匠! なんかそういうズルい手があると思ってたんだよ! ほらほらチャッチャと教えて教えて!」
 
ぴこ蔵「ズルくはない! 極めて正攻法じゃ! いいか、それは『試練』じゃ!」
 
ブンコ「試練って、つまりヒドい目に会うってこと? おお、まさに血と汗と涙そのものなのね」
 
ぴこ蔵「これがキツければキツいほど面白くなる! ゴールに近づいていく過程で『主人公が試練を与えられ乗り越える』という展開を必ず入れる。これが大事なのじゃ」
 
ブンコ「ふ~ん……。到達のストーリーっていうと、とんとん拍子の成功話みたいな気がするけどね」
 
ぴこ蔵「成功譚というのは実はむしろ失敗談の連続なのじゃ。『困難を突破する苦労』こそがストーリーを前進させる。主人公は問題解決のために次々と障害を克服していくのじゃ」
 
ブンコ「そっかー、確かに主人公が辛い体験を重ねなきゃ苦労話は盛り上がらないもんね」
 
ぴこ蔵「これは商品開発ストーリーに限った話ではないぞ。ラブストーリーにおいては邪魔が入るからこそ恋が燃え上がり、アドベンチャー物語では宝が見つからないからこそ冒険が続けられるのである」
 
ブンコ「それじゃその【障害】ってやつを盛り込まないといけないわけだ。つーことは、目的を達成する上での邪魔者とか不足している物を考えろってことだね?」
 
ぴこ蔵「そういうことじゃ。主人公をうんと困らせてやれ! そんな【障害】を意識して先ほどのストーリーを組み立て直すと、例えばこんな感じになるのじゃ
 
 ●ゴールの設定:サッカー部を設立して大会で優勝するぞ!
 ●過程:コーチを探したり、部員の悩みを解消しながら、試合に勝ち進んで決勝戦に出場する
 ●到達:逆転のゴールと共に試合終了のホイッスルが鳴り響く」
 
ブンコ「なるほど! 『コーチがいない』とか『部員の身に何かが起こる』とかいう問題を発生させるのか! これが障害となってサッカー部の足を引っ張るってわけだ! さすがにひねくれてるなあ、師匠は!」
 
ぴこ蔵「いっひっひ、性格が悪くなければ面白い物語は作れんぞ。その点おぬしなら大丈夫じゃ! 太鼓判ポーン!」
 
ブンコ「町田の天使と呼ばれたあたしに何言ってんだよ!」
 
ぴこ蔵「街の堕天使の間違いではないのか?」
 
ブンコ「オラオラ呪い殺してやろうかそこの人間。他のカテゴリー、例えばあたしにぴったりなメルヘンチックな絵本とかでもこの法則は使えるの?」
 
ぴこ蔵「モチのロンである。こんなのはどうじゃ?
 
 ●ゴールの設定:文通相手のペンギンに「海は広くて気持ちいいぞ」と聞いた巨大な氷山が海を目指す
 ●過程:砕けたり、岩にひっかかって削られたりしながら、氷河を下っていく
 ●到達:小さくなった氷山が広い海に到達してペンギンと出会う」
 
ブンコ「おーっ、なんかいい話じゃん! 旅はやっぱりちょっとぐらい苦労があったほうが詩情が深まるってもんだね。自分の旅行でトラブったりしたら即キレるけど」
 
ぴこ蔵「それならば恋愛ではどうじゃ? 惹かれ合う二人の間に何か邪魔が入る切ないラブストーリーが作れるかな。ブンコちゃんには無理かのう、うひひひ」
 
ブンコ「よーしやってやるよ。あたしのピュアな恋愛観に腰を抜かすなよじじい。
 
 ●ゴールの設定:毎朝すれ違う素敵な人に恋心を告白するのだ!
 ●過程:その人は耳が聞こえないことを知るが、主人公は手話を覚えて徐々に仲良くなっていく
 ●到達:告白してラブラブになる」
 
ぴこ蔵「むむむっ、腕を上げたなブンコちゃんよ! これじゃ、これでいいのじゃ!」
 
ブンコ「書いたあたしがびっくりだよ。なんかさ、人生って思い通りに行かない時にどうするかが大事だなあって今しみじみ思った」
 
ぴこ蔵「よし、その意気でもう1本作ってみよう。タガが外れた食いしん坊というおぬしの特徴を生かして、例えば主人公が料理を作る話にしてはどうじゃ」
 
 

(2)実際にストーリーを書いてみる

 
ブンコ「あたしゃ爆食女王か! でも、食べ物の話だと思ったらイメージがふつふつと湧いてきたぞお! 小さなレストランのシェフが店の生き残りを賭けて幻のメニューを復活させる、というストーリーはどうよ」
 
ぴこ蔵「何度も言うが、目的達成を邪魔する障害がなければならんぞ。手慣れた得意料理をすいすい作ったところでお話としてはちっとも面白くないのじゃ」
 
ブンコ「ってことはだね、いくつもの障害を克服しながら忘れかけている味を再現しようとする苦労話にすればいいんだな」
 
ぴこ蔵「それではまず、ゴールの設定はどうする?」
 
ブンコ「●ゴールの設定:幻のメニューを復活させる!
 
主人公の目的としては『昔どこかで食べた記憶だけを頼りに料理を作る』ことをゴールにする」
 
ぴこ蔵「お次は主人公がゴールに近づく過程じゃ!」
 
ブンコ「●過程:主人公が障害を乗り越えて、食材とレシピを手に入れる!
 
目的達成のために障害を乗り越えながら少しずつゴールに近づくわけだよね。ところで師匠、こういう障害って何個ぐらいあればいいのさ?」
 
ぴこ蔵「全体の長さにもよるが、まあ、とりあえず3つほど用意することじゃな。1つクリアするごとにだんだん難しくしていくと、より面白い展開になるじゃろう」
 
ブンコ「3つかあ。じゃあ『おぼろげな記憶しかない』『どうしても思い出せない食材がある』『大事な部分のコツがわからない』って感じかな
 
ぴこ蔵「さて、最後は主人公のゴールをどこにするかじゃ!」
 
ブンコ「●目的への到達:料理を完成させる!
 
最終的に達成するゴールは『美味しい料理を作ってお客さんに振る舞う』ことだよね、やっぱし」
 
ぴこ蔵「ほら、これだけであっという間にストーリーの芯となるエピソードが出来たじゃろ?」
 
ブンコ「確かに、無駄なことを切り捨ててシンプルな形にはめこむと、意外にすんなりとストーリーを考えつくもんだねー」
 
 

(3)どんでん返しを入れてみる

 
ぴこ蔵「さてブンコちゃんよ、それではこのストーリーに「どんでん返し」を仕掛けてみるのじゃ!」
 
ブンコ「出たな、伝家の宝刀どんでん返し! これがないとぴこ蔵メソッドとは言えないもんね! でも、『後から入れるどんでん返し』って、正直まだちょっと自信がないんだよな……」
 
ぴこ蔵「大丈夫じゃ。これもシンプルに考えればよい! まずはここまでをまとめてみるといい」
 
ブンコ「わかった。ざっくりとまとめてみるよ。
 
↓↓↓↓↓↓↓↓↓
 
●ゴールの設定:幻のメニューを復活させるぞ!
主人公の目的は『昔どこかで食べた記憶だけを頼りに料理を作る』ことである
 
●過程:主人公が食材とレシピを手に入れる。
しかし、『おぼろげな記憶しかない』
『どうしても思い出せない食材がある』
『大事な部分のコツがわからない』
 
●目的への到達:料理を完成させる!
主人公は美味しい料理を作ってお客さんに振る舞う。
 
↑↑↑↑↑↑↑↑↑
これでどうよ!」
 
ぴこ蔵「さて、どんでん返しのポイントは『Aだと思っていたらBだった』という構造にある。もちろんこれ以外にも型はあるし、【A→B】型の中にもいろんな面白いタイプがあるが、今日はそのうちの一つだけを使おうと思う」
 
ブンコ「他のどんでん返しタイプとかその作り方はどうすれば分かるの? あっ! そーか、例のぴこ蔵秘伝の自動あらすじなんたらってやつか!」
 
ぴこ蔵「自動あらすじ製造機E2じゃ。多彩などんでん返しを作りたければこれを使うといい。ぴこ蔵メソッドの核心を成すそれらの型を使えばさまざまなパターンが設定できるのじゃ」
 
ブンコ「そんでさあ師匠、基本的なことを聞くけど、まずこの話のどこにどんでん返しを仕掛ければいいの?」
 
ぴこ蔵「そうじゃなあ、ゴールの設定とか目的への到達場面とかでどんでんを返しすぎても、物語の趣旨が変わってしまうからな」
 
ブンコ「どんでん返しを後入れするなら、もともとの物語のイメージや世界観を壊さないようにするのが大事だもんね」
 
ぴこ蔵「そこで今回は、主人公を邪魔するための障害にどんでん返しを仕掛けることで、問題解決のきっかけを作ってみようか」
 
ブンコ「そ、そんなことができるの? どんでん返しで問題の解決策を作るの?」
 
ぴこ蔵「誤解や錯覚が解けて、事の真相が明らかになる瞬間がどんでん返しじゃからな」
 
ブンコ「そうするとまずは障害その1『おぼろげな記憶しかない』ってことになるけど、これにどんでん返しを入れるとしたらどう考えていけばいいの?」
 
ぴこ蔵「これはつまり、再現すべき味の記憶が曖昧である、ということじゃな。これを【A→B】の法則に当てはめると『甘いとばかり思っていたら本当の味は酸っぱかった』みたいな感じになるじゃろう。あるいは『おかずだと思っていたらお菓子だった』でもいい」
 
ブンコ「それじゃあ、障害その2『どうしても思い出せない食材がある』にどんでん返しを入れるとしたら?」
 
ぴこ蔵「『忘れた』と思っていたら『勘違い』じゃった、としてみよう。例えば、主人公は材料が何であるかを勘違いしているわけじゃ。つまり『キクラゲだと思っていたらトリュフだった』みたいなどんでん返しなのじゃ」
 
ブンコ「なるほどね。最後、障害その3『大事な部分のコツがわからない』から考えられるどんでん返しは?」
 
ぴこ蔵「味のイメージもはっきりした。食材もきっちり揃った。でも、美味しさの秘密となる決定的なコツが分からない。そうなると情報を知る人物に登場してもらう必要がある。
 
つまり……
 
『コツを知るのはAさんだと思っていたらBさんだった』というどんでん返しじゃ!」
 
ブンコ「おっと、初めて人間が登場してきたぞ。師匠、これってなんか謎めいてて本格的などんでん返しっぽいよね!」
 
ぴこ蔵「うむ、これこそメインのどんでん返しに使えそうじゃな。なぜなら『あんな味だと思っていたらこんな味だった』とか『この食材だと思っていたらあの食材だった』という感覚やモノよりも、『コツを知るのはAさんだと思っていたらBさんだった』という人間関係の秘密のほうがドラマティックだからじゃ」
 
ブンコ「人生を感じちゃうよー。隠されているからこそ知りたくなるタブーがありそうな気がする。きっとそれがドラマを生み出すんだねー」
 
ぴこ蔵「そこで大事なのは、どんな手口で真相を暴露すると、読者や観客の感情を揺さぶるかを考えることなのじゃ。つまりは演出の妙じゃな。
 
それではこのどんでん返しをもう少し具体的に作ってみようかのう。
 
まずは『コツを知るのはAさんだと思っていたらBさんだった』理由を考えてみるのじゃ!」
 
ブンコ「えーと、確かぴこ蔵メソッドによれば【重要なのは囮の動き】だよねー。ここに全ての謎の原因があるはず!
 
つまり囮のAさんはその料理の作り方のコツを知らない。なのになぜ自分で作ったような顔をしているのか?
 
あるいは、囮のAさんが作ったことにしたほうが都合のいい人が別にいるのか?」
 
ぴこ蔵「うむ、わしは後者のほうが好きじゃのう。なぜならそこにもう一人の登場人物が絡むからじゃ」
 
ブンコ「それってさっきのBさんって人?」 
 
ぴこ蔵「さよう。その料理を『Aさんが作ったことにしておきたい人』がBさんだとすれば、カチッと話がつながってくるのではないかな?」
 
ブンコ「あっ、思いついた! 思いついちゃったよ師匠!」
 
ぴこ蔵「なんじゃ、早く言え!」
 
ブンコ「『有名なシェフだったAさんは突然の病で味覚が失われてしまい、それを隠すためにここ数年間の料理はBさんが秘密裏に作っていた』というのはどう? その理由は二人の特殊な関係性にあるのよ。不倫でもいいし、LGBTが差別されていた時代の話だったのかも」
 
ぴこ蔵「『Aさんの作ったメニューだと思っていたら、実際に使われていたのはBさんのレシピだった』。そして最終的には『問題の料理のコツはAさんが知っていると思っていたら、その秘密の恋人Bさんが知っていた』というどんでん返しになるわけか!」
 
 

(4)ストーリーにまとめる

 
ブンコ「やったよ師匠! いいのが出来たよ! さっそくまとめて1本のストーリーにしてみちゃうね!
 
▼小さなレストランのシェフが店の生き残りを賭けて、友人が昔どこかで食べた記憶だけを頼りに、幻のメニューを復活させようと思いつく。
 
しかし、肝心の友人に『おぼろげな記憶しかない』『どうしても思い出せない食材がある』」という問題が。そして主人公にも『大事な部分のコツがわからない』という障害が立ちはだかる。
 
最初に作った料理は味が全然違うと友人から却下される。『もっと甘酸っぱい味がした』とか『むしろお菓子に近い』と言われてイメージの違いに気がつく。
 
次は食材の勘違いだった。キクラゲではなくてトリュフだったのだ! 中華ではなくフランス料理だ!
 
最後に残ったのは調理法の謎だった。友人の子供の頃の記憶を頼りに情報を集め、一人の料理人にたどり着く。
 
しかしその人は五年も前になくなっていた。
 
ところが、メニューの復活を諦めるふんぎりをつけようとして故人の奥さんにまだ完成していない料理を試食してもらったところ、その味に心を動かされた奥さんから秘密の話を聞かされた。
 
『実は主人は……』
 
有名なシェフだったAさんは突然の病で味覚が失われてしまい、それを隠すために最後の十年間の料理は別人が秘密裏に作っていた、というのである。
 
全ては名門のレストランを守るためだったが、それだけでもなかった。Aさんの替わりに黙って料理を作ったBさんという料理人は、Aさんの秘密の恋人だった。本来ならば独立して店を出せる実力があったが、味覚を失った恋人のために十年間を捧げたのだった。
 
『当時、私はそんな二人を許せませんでした』
 
奥さんは淡々と語った。
 
『でも、あなたの料理を食べて分かったことがあります。このメニューに足りなくてあのときの一皿に溢れていたのは“愛”でした』
 
奥さんから連絡先を教えてもらい、Bさんに会いに行った二人。
数ヶ月後、あのメニューは主人公のレストランで復活し、大人気となっていた。
 
<終わり>
 
ぴこ蔵「うん、なかなかよく頑張ったのう! 目的達成のストーリー、とりあえずのあらすじ完成じゃ」
 
ブンコ「こんなふうにしてシンプルに考えていくことで、どんでん返し入りの物語も確実に作っていけるんだね」
 
ぴこ蔵「まだこの先には、時間軸を入れ替えたり別の視点のサブプロットを使ってどんでん返しを盛り上げる『演出』というスキルが必要になるが、基本のポイントさえ分かっていれば、一歩ずつステップを上がっていける。こんがらがって後戻りすることもない。しかも何度も繰り返し作れる。要するに理論は生産力に直結するのじゃ」
 
ブンコ「よーし、これでコツは分かった! あとは自動あらすじ製造機E2を使ってどんでん返し入りのストーリーを量産するぞー!」
 
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今回も最後までお読み頂きありがとうございます。
 
またお会いしましょう!
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編集:ぴこ山ぴこ蔵
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