物語を作る。その先にあるもの。
✦ 世界を、もう一度面白く。
こんにちは。あらすじドットコムの、ぴこ山ぴこ蔵(今井昭彦)です。
私は30年以上にわたって、面白い物語の作り方を研究してきました。
なかでも夢中になったのが「どんでん返し」です。
それまで信じていたことが、たった一つの事実によってひっくり返る。平凡だった出来事が突然、まったく違う意味を持ちはじめる。
あの瞬間、いったい人間の頭の中で何が起こっているのか。
その秘密を知りたくて、ずいぶん長い時間を費やしてきました。
ところが、研究を続けているうちに、私自身の考え方にも、ちょっとしたどんでん返しが起こったのです。
✦ 1000本の物語と、30年の研究

大学在学中から雑誌のライターとして活動し、日本テレビやテレビ朝日の番組構成、CMのコピーライティングやディレクションなどを手がけてきました。
23歳からはフリーランスとして講談社のラジオCM制作に携わり、約20年間、芥川賞・直木賞・江戸川乱歩賞の受賞作をはじめ、小説や漫画のCMを1000本以上制作しました。
小説を読んで、その面白さをわずかな時間の中で伝える。
それが私の仕事でした。
長い物語の中から、何が人の心をつかむのかを見つけ出す。どんな言葉を、どんな順番で伝えれば、人はその先を知りたくなるのか。
そんな仕事を続けるうちに、私は物語の「内容」だけでなく、それを面白く感じさせる「仕組み」に強く興味を持つようになりました。
そして、さまざまな物語を分析する中で気づいたことがあります。
面白い物語には、再現できる構造がある。
才能やひらめきだけではなく、技術によって面白さを生み出すことはできないだろうか。
それが、私の研究の出発点でした。
✦ 秘密は、独り占めするより面白い
正直に言えば、最初は自分だけがその秘密を知っていればいいと思っていました。
ところが、研究を進めるうちに、それでは物足りなくなってきたのです。
せっかく面白い仕組みを発見したのだから、ほかの人にも使ってもらいたい。
2004年に「あらすじドットコム」を立ち上げ、物語の作り方や、どんでん返しの技術を公開しはじめました。
すると、予想していなかったことが起こりました。
「サプライズを考えるのが癖になってしまった」
「この方法を知ってから、毎日物語を作るのが楽しくて仕方がない」
そんな声が届くようになったのです。
それまで私が夢中になっていたのは、面白い物語の仕組みを解明することでした。
でも、教えた技術を使って、自分だけの物語を生み出す人たちの楽しそうな顔を見ていると、何だかこちらまで嬉しくなる。
面白い物語を作ることと、誰かが面白い物語を作れるようになること。
この二つは、似ているようで少し違います。
そして私は、後者の面白さにもすっかり取りつかれてしまいました。
✦ 物語は、特別な人だけのものではない
物語を書くには、生まれつきの才能が必要だと思っている人がいます。
確かに、優れた小説を書くことは簡単ではありません。
けれども、物語を作ること自体は、決して一部の才能ある人だけに許された特権ではないのです。
誰にでも、忘れられない出来事があります。
子どもの頃に不思議に思ったこと。誰かに言われたひと言。今でも納得できない失敗。もう一度会いたい人。
そんな小さな記憶の中にも、物語の種は隠れています。
ただ、その種をどう育てればよいのかがわからない。
だったら、誰もが使える方法を作ればいい。
2010年には、物語の構造を組み合わせてあらすじを生成する「自動あらすじ製造機」を制作しました。
その後も、物語の発想法や構成技術を研究し、講座や書籍、創作支援ツールなど、さまざまな形で公開してきました。
生成AIの登場によって、その可能性はさらに広がりました。
現在は、著書『小説を書く人のAI活用術』(共著)などを通じて、AIを創作の道具として活用する方法も紹介しています。
けれども、どんなに技術が進歩しても、変わらないことがあります。
何を面白いと感じ、何を大切に思い、何を物語にしたいのか。
それを決めるのは、いつだって人間です。

✦ 物語を作る技術から、世界の見方を変える技術へ
長年、どんでん返しを研究してきて、今はひとつの考えにたどり着いています。
物語とは、ものの見方を変えることで、人の心を動かす技術である。
たとえば、人生最大の失敗だと思っていた出来事が、何年もたって振り返ると、新しい人生の始まりだったと気づくことがあります。
嫌いだった人の事情を知った途端、その人への気持ちが変わることもあります。
起こった出来事は変わりません。
変わったのは、その出来事の意味です。
私は、この「意味が変わる瞬間」こそ、物語の大きな魅力だと考えています。
どんでん返しの研究から始まった私の仕事は、主人公の変化や読者の感情を分析する物語設計法「PIKOZO METHOD」へと発展しました。
そして今は、物語を思いつく方法だけでなく、書きかけの作品を完成させるための支援や、自分自身の人生を物語として見つめ直すための道具づくりにも取り組んでいます。
物語を書くことは、架空の人物を冒険させるだけではありません。
自分の過去に違う意味を発見したり、他人の立場から世界を眺めたり、まだ見ぬ未来を想像したりすることでもあるのです。
✦ あなたの中にも、きっと物語がある
私は、誰もがプロの作家を目指すべきだとは思っていません。
ベストセラーを生み出すことだけが、創作の成功でもありません。
自分が考えた人物を動かしてみる。日常の出来事を、いつもとは違う角度から眺めてみる。
あるいは、ずっと書きかけだった物語に、ついに結末をつける。
そんな体験だけでも、人生は少し面白くなるのではないでしょうか。
思えば私は、面白い物語の秘密を知りたくて研究を始めました。
それがいつの間にか、誰かが物語を作る楽しさを発見することに喜びを感じるようになり、今では、物語という技術が人の人生に何をもたらすのかを考えています。
まだまだ研究の途中です。
けれども、ひとつだけ確信していることがあります。
世界は、見方を変えるだけで、もっと面白くなる。
そのための道具が、物語です。
あらすじドットコムは、そんな物語の可能性を、みなさんと一緒に探し続ける場所でありたいと思っています。
あなたも、自分だけの物語を作ってみませんか。
ぴこ山ぴこ蔵
あらすじドットコム主宰/物語構造・創作技法研究
主な活動・実績
- 物語構造・どんでん返しの研究歴30年以上
- 小説・漫画のラジオCMを1000本以上制作
- 2004年より「あらすじドットコム」主宰
- 物語創作講座、書籍、創作支援ツールを企画・制作
- 『小説を書く人のAI活用術』(インプレス/共著)
- 物語設計法「PIKOZO METHOD」の開発
- 「物語創作6か月作品完成プロジェクト」の運営
