【目的を追う主人公が、邪魔する障害物と戦って、変化する】
物語をこの「型」にはめ込むことによって、テーマがシンプルに把握できます。それはあなたの作ったストーリーでも既存のお話でも同じこと。
その時、目的や障害物が一つだけに絞り込めなかったり、変化の部分が分からなかったりすることはありませんか?
そういう時は「作者の言いたいこと」がたくさんあるわけです。内包する複数のテーマをきちんと理解するために、いったん複数のストーリーラインごとにこの「型」に分けてはめ込んでみましょう。これによって、意味付けがごちゃごちゃになっていた物語展開もすっきりと整理されます。
例えばおなじみ『桃太郎』。
序盤で「桃から生まれた」桃太郎には、他にも「鬼退治」や「お宝獲得」、そして「家来をゲット」などの名場面があります。それを先ほどの「型」に当てはめて、中盤以降のストーリーラインを一つずつテーマ分けして分類してみましょう。
そもそも桃太郎には3つの野望があります。人生の目的と言ってもいいでしょう。それは「名声を手にしたい」「富を得たい」「権力を持ちたい」の3つです。男のロマンですねえ。ギラギラしております。そこに着目しながら分析すると……
1:【人々を救けたい桃太郎が、天敵の鬼を打ち破って、無名人から英雄になる】
2:【翁と媼に楽をさせたい桃太郎が、鬼を降参させて、裸一貫から財宝を手に入れる】
3:【鬼が島を攻略したい桃太郎が、きびだんごで人心を掌握し、風来坊から将軍になる】
各テーマの大きさというか優先順位としては、1>2>3という並びになると思います。
「桃太郎」はあくまでも英雄譚なので、最も基本的なあらすじは1ということになります。
その大筋に、貴種流離譚としての桃太郎序盤の出生の秘密が絡む2(成功譚)が連動し、さらにその重要な登場人物である翁と媼が桃太郎に授ける魔法の力「きびだんご」による3(立身出世譚)が関わってきます。
中盤以降ではこの3本のストーリーラインが以下のように組み合わさっています。
↓↓
(1:人々を鬼の脅威から救いたい)
(2:育ての親である翁と媼に孝行したい)と願う孤独で無名な主人公・桃太郎は、
(1:2:鬼を退治する)ために
(3:きびだんごで軍隊を組織する)ことで強大な敵を倒し、
(1:英雄となる)(2:財宝を手に入れる)(3:家来を従える)という夢を果たして故郷に凱旋するのであった。
↑↑
もしもあなたが作っている物語のストーリー展開が複雑で分かりにくくなっているのなら、上記の「型」に従って、ストーリーラインを要素ごとにシンプルに分類してみましょう。
行動の目的や動機は素朴なほど力強くなります。このぐらい単純化してもなお説得力を持っていなければ、物語の軸はすぐにブレてしまうでしょう。
あなた自身の「桃太郎」は、ヒーローのはずなのに恋愛にこだわったりしていませんか? 孝行者の設定なのにいつの間にか権力者になろうとしていませんか?
分かってやっているのなら見事な「変化」ですが、作者が気付かないうちにキャラが変わっているとしたらそれは「暴走」なのであります。さっさと進行方向を修正しないと話が終わらなくなりますよ。
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